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ビートルズをCMソングに

 Kinさんのブログ「guitars.grrr」で、ビートルズの曲のCM使用が解禁になったというエントリーを読んだ。

 詳細については、こちらのページにも詳しく書いてあるけれど、ビートルズがレコーディングした259曲の権利を所有する「Sony/ATV」という会社は「曲の使われ方に対して、生存するメンバーや遺族から承諾を得る義務はない」とコメントしているそうだ。
 つまり、これまではCMや映画の中では一切使用が許可されず(他のアーチストがレコーディングし直したものに関しては可。オリジナルの使用も例外的にはあったようだが)メンバーによって完全にプロテクトされてきたビートルズの曲が、この先は無制限にテレビから流れてくるということになる。

 ビートルズの初CMソングはおむつのコマーシャルに使われるようだが、記事の中では曲名については言及されていない。いったい、どの曲が選べるんだろう?
 パッと思い浮かんだのは「Cry Baby Cry」。でも、これじゃあ、赤ちゃんが泣き止まなさそうなので「お漏らしを気にさせずに、ゆっくりとおやすみ」ってことで「Good Night」かな。それとも、ご陽気なところで「Ob-La-Di, Ob-La-Da」か。柔らかな感じの「I Will」も似合うかもしれない。

 ぼくがイメージした曲は、なぜか「ホワイト・アルバム」の中の曲ばかりだったが、ビートルズとおむつCMって、やっぱり似合わないよなあ。

The Beatles (The White Album)The Beatles (The White Album)
The Beatles


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 ビートルズのオリジナルバージョンの曲がCMに解禁されるようになったのは、イギリスの著作権と関係がありそうな気がする。おむつのCMのことが掲載されていた「BARKS」には、こんな記事もあった。

英国著作権の保護期間、95年間への延長はなし

 これによると、イギリスではレコーディング作品の著作権が50年で切れ、公共の共有物になるらしい。ビートルズの場合は、デビューから50年後の2012年から曲の著作権が期限切れが始まり、自由にビートルズの曲が使えることになる。
 つまり、ビートルズの曲をアップル以外の会社が勝手に編集したCDですら、合法的にリリースできる(但し、作詞作曲の著作権は作者の死後70年間保護されているので、使用料は発生する)ようになってしまうらしいのだ。
 自分が生きているうちに、レコーディングした曲が著作権切れになりそうなポール・マッカートニーやリンゴ・スターは「たまらん気分だろうなあ」と容易に想像できるが、どうやらこれは既定の事実のようだ。

 ぼくは今回のCMソングの解禁からは「著作権が切れる前にひと儲け」という感じを受けるのだが、もうすぐビートルズがデビュー50周年を迎えるという事実にも驚いた。でも、そんな記念すべき50周年を境にして、著作権が順番に切れていくのは、なんとも皮肉な話だ。


 ついでに、ビートルズの楽器に関する話も。
 最近はビートルズが使っていた楽器のリイシューも盛んだ。

 まずは、フェンダーのカスタムショップからリリースされたばかりの、オールローズのテレキャスター。


Fender USA LTD ROSEWOOD TELECASTER

 オールローズのテレキャスターは、フェンダーがジョージ・ハリソンのために製作したギターである。映画「レット・イット・ビー」で見られるビートルズの最後のライプ、通称ルーフ・トップ・コンサートでも使われていたので、記憶に残る1本だ。
 オリジナルは60年代の終わりにわずかな本数が作られただけなので、ビンテージギターの市場では高額で取引されているらしい。

 ローズウッドは比重の重い木なので、このギターはソリッドではなく、セミフォロー構造になっている。中をくりぬいたローズウッドの間に薄いメイプルを挟んで貼り合わせてあるのだ。それでも、重量は5キロ近いというから、かなり重いギターといえるだろう。
 いかにも良い音がしそうな雰囲気のオールローズのテレキャスターには強く惹かれるけれど、価格は60万以上。どうあがいても、手が出ないなあ。

 ちなみにオールローズのテレキャスターはフェンダー・ジャパンから発売されていて、こちらは10万円弱だ。
 雰囲気はよく出ているが、ボディのコア材がバスウッド、ネックもメイプルにローズウッドを貼ったものになっているなど、オリジナルとは仕様がかなり異なるのが残念。

 次はジョン・レノンのレスポール・ジュニア。


Gibson CUSTOM SHOP The INSPIRED BY Series JOHN LENNON LES PAUL

 このギターは、1972年にマジソン・スクエア・ガーデンで開催されたチャリティー・コンサートで使われたことで、有名になったギターだ。
 このLPジュニアは、様々なところに手が加えられているが、さすがカスタム・ショップ製、写真を見る限り、再現度はかなり高そうだ。

 昔はマジソン・スクエア・ガーデンのコンサートの様子を収録したビデオが発売されていたと思うが、どうやら未だにDVD化はされていないようで、アマゾンで見つかったのはCDのみ。ジョンの調子自体はいまひとつだが、ソロ時代の数少ないフルサイズのライブは貴重である。
 
Live in New York CityLive in New York City
John Lennon


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 最後はポール・マッカートニーのヴァイオリン・ベース。


Hofner 500/1 VINTAGE '62 ELECTRIC BASS GUITAR

 これもポールが使っていた62年製のヴァイオリン・ベースを詳細にリイシューしたものらしい。昔はグレコのコピーモデルを使っていた人をよく見かけたが、最近はホンモノのヘフナーが簡単に手に入るようだ(これも、ちょいと高いけど)。
 ちなみに中国製の廉価版のヴァイオリン・ベースもあって、これなら10万弱で買えます。

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| ビートルズとその周辺 | 21:14 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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He's a real nowhere man

 Well we all shine on
 Like the moon and the stars and the sun

 今夜は英語も日本語も2行だけ。
 これから、じっくり飲みます。

| ビートルズとその周辺 | 21:16 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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アビーロード・スタジオの中のビートルズ

ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実
ジェフ・エメリック ハワード・マッセイ 奥田 祐士


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 今月に読んだ本の中で、一番面白かったのが「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」だ。
 その偉大さに比例して、ビートルズ関連の書籍は多いけれど、スタジオ内の彼らを描いたものでは、これが決定版といえそうだ。

 作者のジェフ・エメリックはレコーディング・エンジニアとして、ビートルズの最初期のレコーディングから最後のアルバムとなった「アビーロード」までに立ち会ったという人物だけに、中身はかなり濃厚である。
 ジェフ・エメリックは人事異動でビートルズのレコーディング現場を一度離れたこともあるが、彼らのアルバム中でも最も革新的な音作りが聴ける「リボルバー」からは、メインのエンジニアを務めめている。それだけに、ビートルズのサウンドマジックの秘密の種明かしが満載で、どのエピソードもスリリングだ。

 また、鉄壁の団結を誇ったビートルズがバラバラになってしまって、グループのリーダーがジョン・レノンからポール・マッカートニーに移り変わっていく様子、彼らが設立した会社であるアップルのでたらめな経営ぶりなど、フレンドリーで偉大だったグループが崩壊していく過程が詳細に描かれていて、スタジオエンジニアから見たインサイドストーリーという観点からも、とても面白い内容だった。

 でも「ホワイト・アルバム」のレコーディング時の徹底的に険悪なムードや、かなり辛らつな表現されているメンバーの性格描写などは、正直なところ読んでいて「なにも、そこまで書かなくても」と思う部分もあり、ビートルズに甘い幻想を抱いたままでいたい人は読まないほうがいいかもしれない。
 特にジョンに関しては手厳しくて、気分屋で機嫌が悪くなると手が付けられず、曲を最後までスタジオで我慢強く仕上げるという根気強さに欠けたと指摘。さらに、クスリに溺れていく様子なども描かれているので、ジョンを「愛と平和の人」と思い込んでいると、違和感が大きいだろう。

 ただ、以前にも書いたが「愛と平和のジョン・レノン」は彼の死後に作られたイメージである。ぼくの知っているジョンは「港町の不良でマザコン、女好きでジャンキー、晩年はハウスハズバンド。そして、何よりも素晴らしいロックンローラー」だった。だから、ジョンに関する表現は、かえって人間臭くて、好感が持てる部分もあるし、ポールも含めて完璧な天才などいないことを感じさせてくれる。

 総ページ数が600ページを越える高価な本だが、レコーディングスタジオのミキシング卓から見たビートルズを詳細に描き、そこからの視点が最後までぶれない「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」は、コアなファンにはおすすめの一冊だと思う。

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| ビートルズとその周辺 | 19:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ビートルズの映画「HELP!」がデジタルリマスター

 ぼくが高校生の頃、夏休みや冬休みなると、大阪のどこかの映画館では「ビートルズ祭り」なるものが開催されることが多かった。

 お祭りの中身は、単に「ビートルズがやって来る、ヤー、ヤー、ヤー」「ヘルプ!4人はアイドル」「イエローサブマリン」「レット・イット・ビー」の4本の中から3本を上映するだけだったが「マジカル・ミステリー・ツアー」やビートルズのドキュメンタリー映画も見たことがあるような気もする。ひょっとしたら、映画のラインアップはもう少し豊富だったのかもしれないが、かれこれ30年以上も前の話だけに、記憶がかなり曖昧だ。さらに、ファンクラブ主催のフィルム上映会も、年に数回はあったと思う。

 とにかく、ビデオがそれほど普及していなかった時代に、動くビートルズは見られる機会は、とても貴重だった。だから、ぼくは「ビートルズ祭り」があると、映画館にお弁当を持ち込んで、1日中スクリーンにかじりついていた。
 そもそも、ぼくがビートルズを好きなったきっかけは、中学三年にあがる前の春休みに、テレビでムッシュかまやつがナレーターを務める「レット・イット・ビー」を見たことがきっかけだった。新しいファンの方には理解しにくいかもしれないが、映画とビートルズの関係は今からは想像できないくらいに濃厚だったのである。

ザ・ビートルズ ヘルプ!〈スタンダード・エディション〉ザ・ビートルズ ヘルプ!〈スタンダード・エディション〉
ザ・ビートルズ リチャード・レスター


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 今月、そんなビートルズの映画の中から「ヘルプ!4人はアイドル」がデジタルリマスター、音も5.1ch化されてDVDで発売された。
 いつまにかタイトルが長らく使われてきた邦題「ヘルプ!4人はアイドル」から単なる「ヘルプ!」に改題されているのが気に食わない(これまで40年以上もその名前で通してきたんだから、今さら変える必要があるのか?独自の邦題も大切なのではないか)が、その気になれば、ビートルズの名作コメディが高画質のDVDで見られるのは、うれしいことだ。
 このところ欲しいDVDが連続して発売されているので、まだ「ヘルプ!」を買っていないが今月号の「レコード・コレクターズ」のレビューによると、今回のデジタルリマスターはフイルムの経年変化による劣化を完璧に克服したものらしい。画面のキズもなく、映画館で見た時にも感じた60年代的な総天然色が鮮やかに再現されているようだ。

 これで「ビートルズがやって来る、ヤー、ヤー、ヤー」「ヘルプ!4人はアイドル」「イエローサブマリン」がデジタルリマスター、DVD化されたわけだが、残る「レット・イット・ビー」のリリースは、いつになるのだろう?
 「レット・イット・ビー」には、解散直前のバラバラ状態のビートルズが至る所で映し出されて、見ていて辛い部分も多々あるけれど、それも今となっては貴重な記録である。かなり前から、リマスター作業が進んでいるというウワサも流れていたが、映画用のフィルムに記録されていたであろう膨大な時間の未公開シーンとあわせてのリリースが待ち遠しい。

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| ビートルズとその周辺 | 16:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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名曲の陰には、いつもパティがいた

 昨晩、ネットを徘徊していて、こんなサイトを発見した。Pattie Boyd−パティ・ボイドの公式サイトだ。ご存知の方も多いと思うが、パティ・ボイドはジョージ・ハリソン、そしてエリック・クラプトンの元妻だった女性である。
 リンクをクリックすると、別窓でトップページが開くが、パティのサインに続いて、ジョージ・ハリソンとの写真が出てくる。おそらく、プールサイドに立つ二人。でも、表情がどこか物憂げで、なかなか意味深な写真である。

 さらに下にある各ボタンをクリックしていくと、様々な写真が見られる。ミック・ジャガー、ロン・ウッド、ポール・マッカートニーなど、交流の深かったミュージシャンの写真も掲載されているが、枚数が多いのはジョージとクラプトンとのプライベートショットだ。
 特に「Polaroids」のコーナーには、クラプトンと撮ったポラロイド写真がたくさんあって、かつての2人の日常生活が垣間見られる。中でも、ベットルームでの赤裸々な写真には、ちょっとドキリとさせられた。

 少し前にはパティの公式サイトはなかったと思う。おそらく、このサイトが作られた目的は、今年の夏に英米で出版されたパティの自叙伝の販売促進のためだろう。

Wonderful Tonight: George Harrison, Eric Clapton, and MeWonderful Tonight: George Harrison, Eric Clapton, and Me
Pattie Boyd


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Wonderful TodayWonderful Today
Patti Boyd Penny Junor


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 カラーの表紙の「Wonderful Tonight」がアメリカ版。白黒の「Wonderful Today」がイギリス版らしい。中身はどちらも同じなのに、アメリカ版がカラフルで、実に分かりやすいタイトルになっているのは、国民性を反映しているようにも思える。
 この自伝、そのうちに日本版も出版されるのだろうか?

 公式サイトの写真を見てもらうとよーく分かるはずだが、パティはとびっきりキュートな女性である。ジョージとクラプトンという2人のスーパースターが、デレデレになってしまったのも当然だなあと思う。
 そして、彼らがパティに捧げた曲が「Something」であり「Layla」だ。

Abbey RoadAbbey Road
The Beatles


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 ビートルズ最後のアルバム「Abbey Road」の2曲目の「Something」は、ジョージの代表曲で、ビートルズのバラードの中でも屈指の名曲だ。出だしのフレーズ「彼女の仕草の中の何かが、ぼくを強く惹きつける」から、ジョージのメロメロぶりがうかがえる。
 「Abbey Road」のB面トップの「Here Comes the Sun」も、ジョージの名曲だ。でも、この曲はジョージがクラプトンの家の庭で日向ぼっこをしている時に作られた曲で、そこにパティが一緒にいたことは、まちがいないだろう。この頃には、すでに微妙な三角関係が始まっていたのではないだろうか。

 そして、翌年にリリースされたのが、あの「Layla」である。

Layla and Other Assorted Love SongsLayla and Other Assorted Love Songs
Derek and the Dominos


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 このアルバムでクラプトンはデレクと名乗って自分の名前を隠し、パティをレイラに仕立てあげた。でも、そんな匿名性が長続きするわけもなく、クラプトンの親友の妻を奪い取るという横恋慕が公けのことになっていく。

 1966年にパティはジョージと結婚したが、74年にはジョージの元を去り、クラプトンと同棲を始める。そして、出来た曲が「Wonderful Tonight」である。

SlowhandSlowhand
Eric Clapton


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 「Slowhand」の2曲目(「Something」と同じだ!)に収録されている「Wonderful Tonight」は、パティがパーティーに着て行く服を選んでいるのを待っていたクラプトンが、暇つぶしにギターを手にした時に出来た曲だ。服選びにどれくらいの時間をかかったたのか分からないが、クラプトンがパティを待つ間に「Wonderful Tonight」が、すべて書けてしまったらしい。 
 しかし、2人の「Wonderful Tonight」は長続きせず、やがて離婚へ。三角関係の一角にいたジョージは、もうこの世にいない。

 現在、パティはロンドンで写真家として活動している。ネット上では現在の写真も何点か見られたが、今もキュートな女性であることには変わりはない。
 そして、未だにステージで「Layla」と「Wonderful Tonight」を唄うことを宿命づけられているクラプトンは、パティのサイトの写真を見て、何を思うのだろうか。

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| ビートルズとその周辺 | 21:39 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

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愛なき時代の「LOVE]

 また12月8日がやってきた。ジョンの訃報を知ったときの話は、去年に書いたので、今年は例のアルバムについて。
LoveLove
The Beatles


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 ビートルズ側が「これはニューアルバムだ」とアピールする「LOVE」。でも、これはいわゆる宣伝文句。ホントはジョージ・マーティンと彼の息子ジャイルズ・マーティンが、ビートルズが残した音源を元に作り上げたラスベガスのショー「LOVE」のサウンドトラック盤だ。
 なのに「ビートルズのニューアルバム」なーんていっちゃったものだから、ファンの間では賛否両論があるようだ。「なかなか楽しい」「音も良い」とほめている人もいれば、「これがビートルズだ」という面白い内容の全曲解説本の著者である中山康樹氏は「ビートルズ史上最大の汚点にして醜悪なる愚作」と、バッサリ切り捨てている。
 ぼくはすぐ買うとアップル社の策略に乗せられちゃうような気がするので、まだ「LOVE」を聴いていない。ラスベガスのショーのサントラ盤と思えば、急いで聴く必要もないし、いずれどこかで見かけたら買おうかなと思っている。

 でも、ホントにすべきなのは「LOVE」のようにリミックスされたアルバムを派手にリリースすることではなく、もはや古ぼけた音源、レコードに比べると貧相な音の現行CDのリマスターではないか。貴重な音源の保存という意味で2チャンネルのリマスターは必須作業だと思うが、「サージェント・ペパーズ」を5.1チャンネルのサラウンドで聴くというのも、面白そうだ。
 抜かりのなさそうなアップル社だけに、このあたりも考えているはずだが「LOVE」の扱いを見ていると、ちょっと心配になる。オリジナルアルバムのリマスターは、レコーディングの現場に立ち会って、音作りをしたジョージ・マーティンが生きているうちに、ぜひ実現していただきたいものだ。

 ビートルズで「LOVE」といえば、この曲。まずは、YouTubeにあった「All You Need Is Love」のビデオを見てもらいたい。
 

 「All You Need Is Love」は世界初の衛星中継番組「アワ・ワールド」のために、ビートルズが書いた曲。上の映像は、その番組に出演した時のものだ。

 「サマー・オブ・ラブ」の1967年の夏らしくサイケな服装のメンバー。各国の言葉で書かれた「All You Need Is Love」。客席で一緒にコーラスをするミック・ジャガー。実に華やかな映像だが、アップになったジョンをよーく見てもらいたい。なんとガムをかみながら「Love、Love、Love」と唄っているのだ。ライブではなくアテレコだろうが、世界初の衛星中継番組で、なんという不遜で不敵な態度。なんという、かっこよさ。これぞ、ジョンである。
  ぼくは以前からジョンは「愛と平和の人」ではなく「単なる不良のロックンローラー」と言い続けてきたが、「All You Need Is Love」のビデオは短いながらも、そんなジョンの本質を鮮やかに描き出している。

 そもそも、よく聴けばこの曲自体がジョークの固まりようなものだ。真面目に愛を表現するなら、イントロにフランス国歌を使い、エンディングで自らを茶化すように「She Loves You」とは唄わないだろう。
 つまり「All You Need Is Love」は「テレビ局が世界初の衛星中継番組のために曲を書いてくれっていってんだけど、どうする」「ギャラが良いから、やっとくか」ってな感じで、手っ取り早く言葉と音を並べて、CMソングのように作られたのだと思う。

 今夜は空の上で「テロ、戦争、テレビで朝から流れ続ける冷たいニュース。愛のない時代に、ニューアルバムの「LOVE」だって?ジョークにもなってないよ、ポール」と、ガムをかみながらジョンが笑ってる気がする。

| ビートルズとその周辺 | 20:14 | comments:6 | trackbacks:3 | TOP↑

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2枚目の選曲が魅力的な「Wingspan」

Wingspan: Hits and History
Paul McCartney
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 これまで「BEATな日々」では、ベストアルバムの類をほとんど紹介してこなかった。もちろん、ベストアルバムは聴いていて楽しいし、お手軽にそのアーチストの軌跡を知ることができる。でも、やっぱり寄せ集めなのだ。
 例えば、ビートルズやローリング・ストーンズ、マイルス・デイビスのホントの良さを知りたければ、オリジナルアルバムをじっくり聞き込むしかない。

 と思いつつ、最近よく聴いているのが、ポール・マッカートニーのベストアルバム「Wingspan」。
 2枚組みのベストアルバムは1枚目が「Hit」、2枚目が「History」と名付けられていて、編集方法が大きく異なる。「Hit」の方は誰でも知ってるヒット曲の連発。「Listen To What The Man Said」に始まり、「No More Lonely Nights」で終わる選曲は、これまで何枚か発売されたポールのベストアルバムとあまり変わらず、改めて「Uncle Albert / Admiral Halsey」の素晴らしさを知る程度。圧倒的に面白いのは2枚目の「History」だ。
 タイトルは「歴史」だけれど、これはポール選曲による「裏ベスト」ではないか。ポールが「どうして、この曲の良さに気付かないんじゃ!」と思い続けてきたに違いない隠れた名曲の連発には、コアなポールのファンも納得するはずだ。

 ポールにしてはヘビーな「Let Me Roll It」に始まり、4曲目の「Maybe I'm Amazed」はポールが作ってきた数々のラブソングの中でも、上位にランクする名曲。甘過ぎず、かといって辛過ぎない「Maybe I'm Amazed」は、極上のラブソングだ。
 7曲目の「Heart Of The Country」から「Every Night」と小品ながら佳曲が続き、9曲目の「Take It Away」はポールらしい高揚感がいっぱいの名曲。続く「Junk」はアコースティックな響きが、せつなく美しい。
 そして「この曲、こんなに良かったっけ」と思ったのが「Back Seat Of My Car」。ポールお得意の複雑な構成の曲だけど、ダイナミックかつスムーズな流れで最後まで一気に聴かせるところ、さすが。

 と、ここまで書いて気付いたのは、2枚目にはポールの最初のソロアルバム「ポール・マッカートニー」と次にリリースされた「ラム」からの選曲が多いこと。なんと22曲中7曲が、この2枚からの曲である。
 解散直後のビートルズの幻影がまだ大きかった時代には「ポール・マッカートニー」と「ラム」はポールがリンダと2人っきりで作った自己満足のアルバムと受け取られ方をしていたし、ぼくもほとんど聴かなかった。
 でも、2枚のCDを買ってみると、これがしみじみ良いのだ。特に「ポール・マッカートニー」は、もろに宅録という感じのラフな仕上がりで、今になってみると音の肌触りがたまらない。生身のポールが聴こえてくる気がするのだ。これは「ジョンの魂」にも匹敵するアルバムだと思う。

 2枚目の「History」のおかげで「ポール・マッカートニー」と「ラム」の良さを改めて知ることができたけれど、この選曲は、発売当時に酷評した評論家やリスナーへのポールなりのリベンジなんだろうなあ。

| ビートルズとその周辺 | 11:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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久しぶりに「サージェント・ペパーズ〜」を聴いた

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
ザ・ビートルズ


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 ぼくが一番最初に買ったビートルズのレコードは「アビイ・ロード」だった。その時の話は10月に書いた。そして、2枚目に選んだ「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は、翌年のお正月にお年玉を握りしめてレコード屋に買いに行った。
 当時の「サージェント・ペパーズ〜」はロックの名盤の筆頭格、ビートルズの金字塔と評価されるアルバムで「これはきっと特別な音楽だ」とロックの初心者に思わせるだけの重みがあった。
 ワクワクしながら手にした「サージェント・ペパーズ〜」だったが、有名人のコラージュで構成されたジャケットは派手なのに、ちょっとおどろおどろしい。そして、見開きの写真のビートルズのポートレートも、目つきがかなり怪しい。今なら「クスリで目がぶっとんでる。サイケだなあ」で済ませられるが、中学生の頃はそんなことは知らない。
 レコードの見かけからして、かなり異質なものを感じた「サージェント・ペパーズ〜」は、レコードから出てきた音も、今まで聴いてきたビートルズとは違う印象があった。きらびやかなサウンドなのに、何だか少し怖かったのだ。

 昨日、25年以上前の第一印象を思い出しながら、久しぶりに「サージェント・ペパーズ〜」を聴いた。ビートルズのアルバムには1枚、1枚に違った肌触りがあるけれど、やっぱり「サージェント・ペパーズ〜」には特別な何かがある。
 発売日が1967年6月で、ヒッピーの全盛期、サマー・オブ・ラブとも呼ばれる時代の直前のリリース。サイケデリックもヒッピーも今では過去の特殊な風俗かもしれないが「サージェント・ペパーズ〜」は、そんな時代を象徴するアルバムだった。ぼくはリアルタイムで「サージェント・ペパーズ〜」を聴いたわけではないが、きっと67年初夏の空気感の中で聴くこのアルバムは、今とは違った特別な音がしただろう。
 さらに、無視できないのはドラックの存在。ビートルズはデビュー前からドラッグを試していたらしいが「サージェント・ペパーズ〜」にはLSDの幻覚による影響も感じられる。
 「サージェント・ペパーズ〜」はこれ以外に考えられない順番で曲が並べられているが、出だしの2曲が強烈。「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band〜With a Little Help from My Friends」のメドレーでアルバムの世界に引きずり込まれ、「Lucy in the Sky With Diamonds」で空を飛ぶ。
 レコードの場合はA面の終わりで一息つけたが、CDの場合はいつの間にか「A Day in the Life」の最後のジャーンという音が鳴り響いている。丁寧に作り上げられているのに、スピード感のある不思議な音の世界が「サージェント・ペパーズ〜」だ。

 ぼくは「サージェント・ペパーズ〜」がビートルズの最高傑作だとは思わない。曲のクオリティーでいうと、これより上のアルバムはある。それでも「サージェント・ペパーズ〜」は特別だ。ヒッピーの全盛期、サイケデリックな時代を象徴するアルバムだからこそ、未だに不思議な浮遊感があるのだろう。でも、ホントの音の感触はこれを1967年夏に聴いた人にしか分からない気がする。
 今でも確かに言えるのは、デビュー曲の「Love Me Do」からわずか5年弱で、こんなところまで来てしまったビートルズの成長がとんでもなかったこと。そして、ぶっとんだアルバムの中で常に覚醒しているポールのベースラインの凄さである。つまり「サージェント・ペパーズ〜」の土台を支えているのはポールで、このアルバムからビートルズの主導権がジョンからポールに移り変わったことを象徴している。
 「サージェント・ペパーズ〜」はある種の頂点であると同時に、ビートルズの無邪気な時代の終わりを告げたアルバムでもあった。ここから彼らは少しずつ解散への道を歩み始めるのだ。

| ビートルズとその周辺 | 14:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ビートルズとシングルレコード

 普段はあまりテレビを見ないが、先週は「建築耐震強度偽装問題」の国会証人喚問の生中継をすべて見て、さらにニュース番組も追いかけた。ある種、今の日本を象徴する事件だと感じるからだ。
 コストをギリギリまで削減して、少しでも儲けをだす。資本主義の当たり前のルールかもしれないけれど、やり過ぎると悪に変わる。きっと「分かっちゃいるけど、やめらなかった」のだろう。
 最近、起こった企業がらみの様々な不祥事から分かる教訓は「不誠実な商売は短期的には利益を上げることができても、長い目で見ると大損をする」だと思う。でも、この手の事件は今後も続くんだろうなあ。

Past Masters, Vol. 1Past Masters, Vol. 1
The Beatles


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 話は急に変わるけれど、ビートルズは原則としてシングルで発表した曲をアルバムには収録しなかった。ファンに同じ曲を二度買わせたくなかったからだ。ただし、この誠実な商売はイギリス国内のみの話。アメリカや日本などでは独自にアルバムを編集し、勝手にシングルをリリースした。だから、ぼくがレコードでビートルズを聴き始めたころは、オリジナル、アメリカ盤、日本編集盤がレコード店のラックに入り混じっていた。
 しかし、アルバムのCD化の時に収録曲がイギリスでリリースされたオリジナル盤に統一され、シングルでしか聴けない曲は「パスト・マスターズVol.1」と「パスト・マスターズVol.2」の2枚に分けて収録された。

 シングル曲の寄せ集めた「パスト・マスターズ」は、意外にも散漫な印象がない。
 ヒットした曲のオンパレード、これをB面するかという名曲「Thank You Girl」「I Call Your Name」「Rain」などに加えて、「オールディーズ」という編集盤でしか聴けなかったジョンのシャウトが素晴らしい「Bad Boy」、インド音楽に傾倒したジョージのラガーロックの傑作「The Inner Light」、鳥が羽ばたく音が入っているのでバードバージョンと呼ばれる「Across the Universe」など、曲のクオリティが高いからだ。「パスト・マスターズ」は単なる編集盤ではない。オリジナルアルバムではないけれど、ぼくの密かな愛聴盤だ。

 よくよく考えれば、ビートルズが「She Loves You」や「I Want to Hold Your Hand」をアルバムに入れなかったのは、すごいことだ。リリースした当時は人気の絶頂期、出せばなんでも売れただろう。シングル曲をアルバムに再収録しても、誰からも文句はでなかったはずなのに、あえて誠実な商売を貫いたのは、ホントにえらいと思う。
 デビューからの40年以上が過ぎても、未だに聴き続けられ、新たなファンを増やしているビートルズ。その理由は曲の魅力だと思う。そして、曲のクオリティを支えていたのは、彼らの溢れ出る才能と「音楽に対しては手抜きをしない、できる限りのことをする」という職人的な姿勢ではなかっただろうか。
 やっぱり「誠実な商売は長続きする」のである。今でもビートルズから学ぶことは多い。

Past Masters, Vol. 2Past Masters, Vol. 2
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| ビートルズとその周辺 | 14:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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あれから25年

 ジョンが亡くなってから25年が経つ。今でもあの日の記憶は鮮烈に残っている。
 ぼくは高校三年生で、二階にある部屋で期末テストの勉強をしていると、母親が「あんたの好きなジョンなんとかが死んだらしいで。テレビで言うてるわ」と階段の下から声をかけてきた。たちの悪いジョーク、ありえない話だと思ったが、あわてて階段を下りると、確かに画面ではニュース速報のテロップが流れている。
 テレビを通じて次第に分かってくる状況。ロックなんてまともに聴いたことはないくせ訳知り顔で的外れのコメントをするワイドショーのキャスター。ジョンの追悼番組と称して「イエスタディ」を流すラジオ。すべてに腹が立った。
 ぼくは悲し過ぎてジョンの曲を聴く気にもならなかった。今なら「ロックスターらしい死」とも思えるが、家族が寝静まってから布団にくるまって一人で泣いた。他人の死であれだけ涙を流したことはない、今後もあんなことはないと思う。

 しかし、心の痛みは時間が解決してくれる。ぼくは二十代から三十代にかけて、ビートルズやジョンの曲をあまり聴かない時間を過ごした。十代の頃はロックンロールが先生だったが、バイクや旅、アウトドアでの遊びがそれに取って代わったのである。
 そして、再びジョンのことをよく思い出すようになったのは、子供が産まれて主夫として生活するようになってからだ。おむつを替えながら「子育て中の5年間、ジョンは何を考えていたのかな」と思ったし、ショーンにロックンローラーでもある自分の背中を見せたくて再起した時の気持ちも分かるようになった。
 ジョンが背中を後押ししてくれたので始められた主夫生活の中に、音楽は再び深く入り込むようになり、子供をあやしながら聞くビートルズはとても新鮮だった。

 ジョンがぼくに教えてくれたことは「愛と平和」の大切さではない。簡単に書くと「キミはキミらしく好きなように生きろ。そして、不良であれ」ということだ。あれから25年、ぼくはジョンより年上になってしまったけれど、彼の背中は大きくなるばかりだ。
SIGHT (サイト) 01月号 [雑誌]SIGHT (サイト) 01月号 [雑誌]


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 最後にジョンに関する雑誌の紹介を。
 「SIGHT」の最新号の特集はアメリカの「ローリング・ストーン」誌が選ぶ「究極のロック100曲」。この中で「イマジン」が3位に選ばれている。曲は割と無難な線で選ばれ、翻訳された記事にも目新しいものは少ないが、20位までの曲に追加された渋谷陽一とピーター・バラカンのコメントが面白い。
 「イマジン」についてのコメントでは渋谷陽一は「他にもっといい曲がある」と言い切るが、ピーター・バラカンは「これは共産主義というか理想主義を唄った曲。詩の中の言葉がとっても好き。若い頃は誰でも理想主義的な考えをするけれど、年をとるにつれ妥協を覚えて、シニカルになっていく。ぼくは未だにこうだけど、最近はこれでいいんだと思うようになった」というようなことを言っている。
 どちらの意見にも納得できるけど、ピーター・バラカンの話は「それがロックンロールだよな」と思う。
 「SIGHT」には没後25年ということで、死の3日前にダコタアパートでおこなわれたインタビューも掲載されて、こちらもなかなか興味深い内容だ。

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