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テレビが退屈なので

 クリスマスが過ぎて、テレビも特別番組ばかりで、年末年始ムード一色だ。
 ぼくは普段からテレビはあまり見ないほうだし、見てないテレビがついているというのも好きじゃない。それでも、毎週決まって見ている番組はある。例えば、最近では「クイズ・ヘキサゴン」なんかは面白いなあと思う。

 でも、そんな数少ない好みの番組が全部ぶっ飛んで、特別番組に切り替わるこの時期は、ホントにテレビを見なくなる。
 たまに興味を惹くものもなくはないけれど、本来なら1時間で済む内容を3時間に引き伸ばしするような番組は、見ていてもすぐにダレてしまうのだ。まあ、年末年始は多少ゆるい番組のほうがお似合いなんだろうけど・・・・。

 毎年、この時期はテレビを見ない分、本を手にすることが多くなる。今回のエントリーでは、最近読んだ中から面白かったものを紹介します。

わが青春のロック黄金狂時代―ビートルズからボン・ジョヴィまで (角川SSC新書 4)わが青春のロック黄金狂時代―ビートルズからボン・ジョヴィまで (角川SSC新書 4)
東郷 かおる子


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 まずは、音楽関係の本を一冊。
 この新書は作者が取材やインタビューを通じてこそ知りえた、ミュージシャンの素顔やこぼれ話が満載で、日本のロックの夜明けから成熟期までをふり返れるという意味でも楽しい一冊だった。
 作者の東郷かおる子氏は、79〜90年まで今はなき音楽雑誌「ミュージックライフ」の編集長を務めた方である。当時はラジオ番組なんかにもよく出演されていたので、40歳前後の方には懐かしい名前だろう。

 各アーチストのエピソードはどれも印象的(本には書けないような話も数多くあるはずだが)だが、ぼくが気に入ったのはクラプトンの話。最初に会った時は、アル中のダメ男だったクラプトンが、どのように変化していたかは、この本の大事なエピローグにもなっているので、あえて書かないけれど、最近の彼を見ていると納得できる話だなと思った。

 それにしも、近ごろの新書って、あっという間に読み終わっちゃう。この本も数時間で読みきってしまった。まあ、この辺の軽さに新書が受けている理由があるのだろうけど、ぼくは「もう少し読みたかったな」という空腹感も感じた。

 ちなみに、ぼくはミーハーな感じがした「ミュージックライフ」を買った(立ち読みはしていたけど)ことはほとんどなくって、ちょっと硬派でスコアや自作エフェクターの設計図が載っていた「ロッキンf」を愛読していた。


 もう一冊はこれ。

男気万字固め (幻冬舎文庫 よ 10-1)男気万字固め (幻冬舎文庫 よ 10-1)
吉田 豪


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 作者の吉田豪氏のことは、プロレス雑誌の「紙プロ」に関わっていた頃から知っているが、プロレスラーへのインタビューやプロレス本の書評が抜群に面白いライターだった。彼の特徴はインタビュー相手に関する下調べが入念なこと。レスラーから「アンタ、よくそんなこと知ってるね、どこで調べたの?」と言われることも多かった。

 この本も同様で、インタビュー相手の山城新吾、ガッツ石松、張本勲、小林亜星、さいとう・たかを、本宮ひろ志、そして乙武洋匡に関するエピソードを調べ上げ、ここぞという時に投げかけて、相手のホンネを引き出していく様子は、もはや職人芸といえるだろう。
 
 濃厚な面白さという点では、今年一番の一冊だったが、実は単行本化、文庫化の際にムツゴロウこと畑正憲のインタビューの収録が許可されなかったそうだ。しかし、ネット上には掲載時の雑誌がスキャンされたものがアップされていた。
 これを読めば「男気万字固め」の面白さ、とんでもなさの一端を分かってもらえると思う。

 最後にもう一冊。どんな中身か想像しにくいので、楽器屋で現物を見てから買おうと思っている本がある。

ギター塗り絵 ロックの時代を彩った名器8本を塗るギター塗り絵 ロックの時代を彩った名器8本を塗る
ギター・マガジン編集部


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 40過ぎて、塗り絵ってのも、なかなか楽しいかもしれない。
 この正月はビール片手に昼間から塗り絵でもしてみようかな。

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| BEATな読書 | 18:19 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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三大ギタリストを探せ!

 アマゾンや楽天ブックで本を取り寄せることも多くなったけれど、街の本屋にふらりと立ち寄って、本をパラパラとするのは、今でも日常生活の中の楽しみのひとつ。そして、昨日はクラプトンが表紙の月刊プレイボーイを買った。

PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版 2007年 11月号 [雑誌]PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版 2007年 11月号 [雑誌]


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 最近では、音楽関係の特集を組むことの多いプレイボーイだが、今号の特集は「三大ギタリストを探せ!」である。三大ギタリストといえば、未だにエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジとなる(ちなみに、本国イギリスでは、このようなくくりはないらしい)のだろうが、この特集は部門別に三大ギタリストを選び、その理由を挙げるというもの。
 例えば、ブルースロック編なら1位−ジミ・ヘンドリックス、2位−デュアン・オールマン、3位−スティーヴィー・レイ・ヴォーン。バッキング編では1位−キース・リチャーズ、2位−アンディ・サマーズ、3位−ジョン・レノンといった感じだ。
 順位は読者投票などで決まったものではなく、各ライターの独断なので「?」の付く部門もあるが、全般的に無難な選択。音楽雑誌ではなく、一般誌なので、つっこみが甘い部分もあるけれど、たくさんのギタリストの写真を見ているだけでも楽しい。

 その特集の最後にあったのが「ヴィンテージギターの愉しみ方−野村義男に訊く、夢のギターの探し方」と題されたインタビュー。
 それによると、膨大なギターコレクションを持っているヨッチャンは「温度や湿度を一定に保った部屋で、ケースに入れたまま厳重に保管している」らしい。四季があって、気候の変化の激しい日本ゆえの事情からの保管法らしいが「何年かに一度、春か秋の晴れた日にしか会えない楽器もある」とか。詳しくは本誌を読んでほしいけれど、ヨッチャンのギターへの愛情を感じるインタビューである。
 付録にバニーちゃんのピック(ティアドロップ型とおむすぎ型が1個ずつ。硬さはミディアム程度)が付いているプレイボーイ11月号は、ギター好きなら思わず手が出そうな一冊かも。

 そのヨッチャンがホストを務めていた「野村ギター商会」が今月で終了。月に2回の楽しみで、出演してほしい日本のギタリストはまだまだいるだけに残念だ。幸い、過去のアーカイブは視聴可能なので、まだの方はぜひ。
 ちなみに、ぼくが何度も見たのはROLLYと世良公則、CHARが登場する回。最近では、なぎら健壱のギターのうまさに驚いた。

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| BEATな読書 | 09:43 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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海賊キースとジョニー・デップ

Rolling Stone (ローリング・ストーン) 日本版 2007年 07月号 [雑誌]
B000R3W9SQ

 よくお邪魔するブログ「Hard Road To Babylon」のhiromerさんが「表紙が反則」と表現されていた「ローリングストーン日本版」の7月号。その反則の表紙はキースとジョニー・デップのツーショットだ。もちろん、二人のインタビューも掲載されていて、天下のジョニー・デップに先輩風を吹かせまくるキースが微笑ましいというか、コワイというか。

 ちなみに7月はファッション関係の記事が少なめで、かなりロック色が強い。
 巻末のインタビューブックもポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ニール・ヤングといったメンツで充実しているし、ニューアルバム「COYOTE」をリリースしたばかりの佐野元春のインタビューもあって、こちらも面白かった。「来日ミュージシャンが通う東京・飲食店ガイド」もミーハー心をくすぐる企画だ。

 さらに「伝説のCIAスパイが死の間際に明かした、JFK暗殺の真犯人」「イラク戦争はビジネスだ!その知られざる闇」といった硬派な記事も読み応えがあって、以前に紹介した5月号に比べると、雑誌としてのグレードが数段上がった気がする。
 「この雑誌、ひょっとしたら化けるかも」という予感さえ感じさせる7月は、おすすめの一冊です。

| BEATな読書 | 18:19 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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鮎川誠の黒いレスポール

ロックダッド Vol.2 (実用百科)
実業之日本社
4408628190

 「この雑誌、次はあるのかなあ」と思っていたら、意外に早く第2号が本屋に並んでいた「ロックダッド」。
 パラパラと立ち読みして済ますつもりが、今回も鮎川誠仕様のピックが付録に付いていて、コピーしたかったサンタナの「ブラック・マジック・ウーマン」とジェフ・ベックの「レッド・ブーツ」のスコアが巻末にあったので、ついついレジへ。

 特集は鮎川誠で、創刊号のチャーの時とほぼ同じ構成。今回のインタビューもなかなか面白かった。でも、何より凄いのが、見開きで掲載されていた愛用の黒のレスポールカスタムだ。

 鮎川誠の1969年製のレスポール・カスタムは、あまりに有名なギターだが、改めて何枚もの写真を見ると「こんなに壮絶で、凄味を感じさせるギターは他にない」と思うくらいの状態に驚いた。
 ボディの塗装はあちこちで剥げ、ピックが頻繁にあたる部分は木地が出たうえにえぐれている。ネックの塗装はすべて剥げ落ちて、ナチュラル仕上げ状態だ。さらに、ネジというネジの頭はさびて、ネジ山はつぶれ、テールピースはさび付いて固定用のネジと一体化してしまっている。
 最も驚いたのは、リアピックアップの金属カバーの一部に穴が開いていること。金属すら削り取る鮎川誠のハードなピッキング、恐るべしだ。

 「レスポール読本」という文庫本でも、このレスポールは紹介されていて、その中で「鉄と木が良い感じでひとつになっとる」と鮎川誠がコメントしていたが、その言葉の通りに壮絶なまでに使い込まれたギターだ。ここまで弾き込まれれば、ギターも本望だろう。

 でも、この黒いレスーポールは未だに現役のギターとして、ステージで活躍しているのだから、ホントにすごい。「ひょっとしたら、鮎川誠以外の人間には弾けないんじゃないか」と思わせる異様な存在感が、黒いレスポールにはある。

| BEATな読書 | 22:30 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

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付録につられて

Rolling Stone (ローリング・ストーン) 日本版 2007年 05月号 [雑誌]
B000OLHHTW

 先月に日本版が創刊になった「Rolling Stone」。
 創刊号は本屋でパラパラと見たが、音楽誌というよりファッション誌といった印象があって、買うまでには至らなかった。
 2号になっても、その傾向は変わらず、ファッション中心の誌面構成に音楽とカルチャーが少し混じるといった感じだ。ぼくに「Rolling Stoneはアメリカの硬派な音楽雑誌」という思い込みがあるせいかもしれないが、どうにも雑誌の方向性が見えにくいのだ。

 今回もパスしようかなと思ったが、結局レジに持っていってしまった。巻末にミックとキースのポスターが付録として付いていたからだ。
 1975年の「Rolling Stone」の表紙をポスターにしたもので、2人とも上半身がハダカなのだが、さわやかで健康そうなミックの横のキースはけだるそうでジャンキーまるだし。この対比が当時のストーンズの状況を見事に表現していて、素晴らしいワンショットになっていると思う。
 ちなみ、巻頭にも付録が付いている。ヒステリックグラマーのデザインのステッカーで、これもなかなかポップでかっこいいです。

| BEATな読書 | 22:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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大人のロック雑誌

 ギターを始めてから、本屋で足を止める時間が長くなった音楽コーナー。そこで、近ごろ目につくのが大人向けのロック雑誌だ。

 でも、ぼくは「大人のロック」という言葉があまり好きじゃない。ロックは基本的にティーンエイジャーの音楽だと思うからだ。かつて、RCサクセションが「子どもだましのモンキービジネス」と自虐的に唄ったフレーズが、ロックの本質ではないだろうか。「大人のロック」という言葉自体が少しおかしいのだ。
 もちろん、今やロックを聴いているのは十代だけではないし、自分自身も小学生の息子と一緒にビートルズを聴いているのだから、はなはだ矛盾する話である。しかし、ロックが持っているホントの衝動は、あの頃にしか理解できなかった気がする。

 そんなわけで、できるだけ買わないようにしている大人向けのロック雑誌だが、パラパラと見ていると面白そうで、つい買ってしまうものもある。

AERA ROCK HARD ! (アエラロックハード) 2006年 12/10号 [雑誌]
B000KGGKKI

 まずは、AERAの別冊「ROCK HARD !」。これ、表紙が抜群にかっこいい。ZEPのこのアングル、ロックの基本だなあ。
 中身もバライティに富んでいて、ディープなネタもちらほら。中でも、特に面白かったのが「東郷かおる子のインタビュー戦記−おれ様と私」。かつて、女史がインタビューしたミュージシャンの暴露ネタの連発だ。一部を紹介してみると・・・・。
 ZEPがホテルの部屋を破壊したのはホント、窓からベットを投げたし、ボンゾは酒乱。クラプトンはアル中でまっすぐ歩けないのに、ステージに立って、ギターを持つとシャンとする。などなど、70年代の荒々しくも、ファンタスティックなロックネタが満載。この雑誌、かなり楽しめる。

ロックダッド (実用百科)
実業之日本社
4408628069

 次はこれ。「ロックおとうちゃん」というタイトルからして、できれば避けたい一冊だが「チャー仕様特製ピック」というおまけにつられて買ってしまった。
 中身は少々薄い記事もあるし、スコアの選曲もありきたり。でも、巻頭特集の「Charという生き方」は面白かった。ぼくが知らないだけかもしれないが、彼がここまで自分の過去を語った記事は初めて読んだ。ギターコレクションも紹介されていて、ミニハムバッカーが2発付いたギブソンのSGスペシャルが、抜群にかっこいい。持っているギターも一筋縄ではいかないところが、実にCharらしい。
 あと、意外にも巻末のチョーキング講座がお勉強になった。いやはや、基本忘れるべからずですな。

| BEATな読書 | 23:09 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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ビートルズの来日から40年

PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版 2006年 06月号 [雑誌]
PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版 2006年 06月号 [雑誌]

 今月のプレイボーイは、来日40周年記念のビートルズ特集だ。
 滞在時間がわずかに103時間だった来日公演の内幕に、関係者のコメント、記者会見の完全収録、セットリストの全曲解説などで迫っている。30ページ以上に渡る特集は読み応えがあるし、珍しい写真も豊富。初めて知ったエピソードもちらほらあって、かなり力が入った構成だ。

 付録の「ビートルズ日本未公開写真集」は、その名の通り初見の写真ばかりである。
 バックステージで空虚な眼差しで来客をながめるジョン、ジョージにシタールを習うポール、サイケデリックペイントされたジョンのロールスロイスのカラー写真、ブライアン・ジョーンズの自宅のプルーでブライアンと恋人のアニタと一緒のジョージなどなど、未だにこんな写真が未発表のまま残っていたのかと驚かされる内容の小冊子になっている。
 女性の方は少々買いにくい雑誌かもしれないけれど、ファンには見逃せない一冊だと思う。

 ビートルズが来日した時、ぼくは3歳だった。だから、当時の記憶は一切ないけれど、初めて買った海賊盤のレコードはビートルズの武道館ライブだったし、中学生の時に1回限りで再放送されたライブの様子は、テレビの前で食い入るように見つめた。
 ぼくがビートルズを聴き始めたのは、初来日から10年も経っていない頃である。武道館での騒ぎもついこの前のことのようで、それなりのリアリティも残っていた気がする。しかし、あれから40年。ビートルズの来日は歴史の一部になろうしているのかもしれない。
 テレビで放送された武道館でのわずか30分のライブの様子は、ネット上で入手できなくもないけれど、来日のドキュメンタリーを含めてDVD化されないものだろうか。

 そういえば、DVD化のウワサのあった映画「レット・イット・ビー」は、膨大な量の未公開フイルムの編集作業が未だに続いているらしい。
 デジタルリマスターされて鮮明な画像と音になった本編を見たいのはもちろんのこと、未公開フィルムも同時に公開されるとなると、ビートルズ最後のライブであるルーフトップ・コンサートの完全版が見られる可能性もあるのかもしれない。「ネイキッド」の発売から、もう何年も経つけれど、こちらも楽しみだ。

| BEATな読書 | 20:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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とっても、ロッケンロールな漫画です

失踪日記失踪日記
吾妻 ひでお


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 吾妻ひでおと聞いて、少年チャンピオンに連載されていた「ふたりと5人」を思い出すのは、やっぱり40歳前後の人だろう。その後、ぼくは吾妻ひでおの漫画って、ほとんど読んだことがないけれど、この「失踪日記」はめちゃ面白かった。 
 カバーには大きく『全部実話です(笑い)』と書かれているけれど、これがホントの話ならすごい。中身は吾妻ひでおが体験したホームレスの生活、アル中の闘病記、漫画家生活の内幕という壮絶な内容。しかし、陰惨ではない。こんな話で笑わせるのだから、やっぱり吾妻ひでおは表現者としてタダ者ではない。

 「失踪日記」の最初のひとコマ目にはこう書かれている。「この漫画は人生をポジティブに見つめ、なるべくリアリズムを排除して描いています。リアルだと描くの辛いし暗くなるからね」と。確かにリアルな画風ではないから、ギャグ漫画として読ませるが、中身は実際に体験していないと描けないようなエピソードばかりである。
 過去の自分を見つめ、笑い飛ばしながら表現する。これって「ロックな姿勢だなあ」と思う。「失踪日記」は、とってもロッケンロールな漫画である。

| BEATな読書 | 07:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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1970年の空気感を再現する「まぼろし万博」

まぼろし万国博覧会まぼろし万国博覧会
串間 努


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 このブログでこれまでに紹介してきたロックやジャズのアルバムの大半が、実は1960年代から70年代にかけてリリースされたものだ。これまで聞き込んできたので書きやすいという理由もあるが、特にロックに関してはこの時期にリリースされたものに圧倒的に名盤が多いと思う。

 60年代を全速力で駆け抜けたビートルズを軸に、ロックという音楽は大きく開花し、急速に成長していった。同時期に日本という国も敗戦のショックから立ち直り、急速に経済が発展する高度成長期を向かえていた。
 ぼくは1962年生まれなので、ビートルズに関しては来日公演を含めて、リアルタイムでの記憶はほとんどない。しかし、高度成長期に伴う生活の変化はよく憶えている。例えば、家に初めてカラーテレビがやって来た日のこと。カラーで見たアニメの「ジャングル大帝レオ」は驚異的に美しかった。そのテレビで見たアポロ11号の月面着陸も少年時代の鮮明な記憶である。

 1970年3月に開幕した大阪万博は東京オリンピックと並んで国家の威信をかけて開催され、何と延べ6400万人の入場者を集めた。「まぼろし万国博覧会」はこの歴史的イベントを活字で再現している。
 当時、ぼくは大阪に住む小学2年生。大阪万博の会場には何度も行ったので、断片的な記憶は残っているが、この本を読んで当時のことが鮮やかによみがえってきた。
 それは「サンヨー館でこいのぼりのマークのバッチをもらったな」とか「太陽の塔の内部は不気味だった」「迷子バッチをつけさせらた」「ニヤロメの万博紹介本は読んでたなー」などといったたわいもないものだが、大阪万博は子供の心を強烈にひきつけた。万博会場が大阪の北部の竹やぶの中に忽然と出現し、わずか半年で消えた夢の未来都市だったからである。

 「人類の進歩と調和」がテーマの大阪万博が開催された頃、未来はバラ色で来るべき21世紀は夢の時代だった。小学2年生のぼくは何の疑いもなく、そう信じることができた。
 しかし、実際に迎えた21世紀はバラ色でも夢の時代でもない。あの頃、描かれた夢のような未来のごく一部分は実現されているが、世界情勢は戦争やテロなどで「進歩と調和」どころか「退化と混迷」している。
 音楽は時代の空気の影響を強く受ける。7歳の少年がバラ色の未来を信じられた時代に作られたメロディーは、やはり美しいのだ。

 大阪万博を通して当時の日本人の気持ち、時代背景を描いた「まぼろし万国博覧会」は、ぼくと同世代の人はもちろんのこと、1970年にまだ生まれていなかった方が読んでも楽しめる一冊だと思う。

※愛知万博のメニューを見ていると、冷凍保存されていたマンモスと月の石、リニアモーターカーとモノレール、大型スクリーンによる映像など、展示物などが大阪万博とあまり大差がないことに気付く。こちらもあまり進歩していないような気がする。

| BEATな読書 | 10:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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山川健一の「イージー・ゴーイング」

イージー・ゴーイング―頑張りたくないあなたへ
山川 健一
4344990005

 ぼくには勝手に同時代を生きている思っている作家が三人いる。村上龍、村上春樹。そして、山川健一だ。三人共に、今よりもずっと多感な中学、高校時代にデビュー作を読み、以来発表された小説やエッセイにはほぼ目を通している。
 その他に共通するのは、何らかの音楽的影響を受けたこと。例えば、村上龍からキューバ音楽を知り、村上春樹のエッセイを読んでジャズを本格的に聴き始めた。そして、山川健一からはロックという音楽について様々なことを学んだ。

 今ではすべてが絶版だと思うが、角川文庫から出た「ローリング・キッズ」と「ロックンロール・ゲームス」には、ミック・ジャガーとキース・リチャーズのインタビューが収録されていて、何度も読んだ。
 東京書籍からCDブックスとして発売された「ハミングバードの頃」と「彼が愛したテレキャスター」は今読み返しても、とても優れたロックエッセイだ。山川健一のロックという音楽への深い関わり、想いがよく分かる二冊だと思う。どうやって、著作権の問題をクリアしたのかは謎だが、ロックの名曲が多数収録されたオムニバスのCDが一枚ずつ付いていて、今でもたまに聴くことがある。 

 今回、紹介する「イージー・ゴーイング」の副題は「頑張りたくないあなたへ」である。すごく簡単に要約すると「無理しないで、自分らしく生きること」について書いてある。押し付けがましくない語りかけるような平易な文章だから、肩の力を抜いて、寝転んで読めば、とりあえず気楽になれるかもしれない。
 でも、「無理をしないで自分らしく生きることは、自分を押し殺して頑張って生きることよりも難しいかもしれないな」とも思う。

 今のぼくはどこの組織にも所属せず、一日の大半を子供と共に主夫として生きている。近頃では主夫も珍しくないかもしれないが、何かの機会に自分の立場を紹介しなければならない時に「今の仕事は主夫です。収入は限りなくゼロに近くて、妻の扶養家族です」と胸を張って言えるようになったのは、つい最近のことだ。つまり、男の見栄というのがあった。

 実際に主夫をやってみれば、家事や子育てというのは想像以上に重労働だ。掃除、洗濯、食事の準備。それだけでも大変なのに、子育てが加わると一日なんてアッとという間に終わる。しかし、これらはとても大切な仕事だと思う。それが身をもって分かってきたので「ぼくは主夫です。子供と共に家にいます」と素直に言えるようになった。さらに「これが今の自分にとって、最も自分らしい生き方なんだろうなあ」と感じている。
 でも、こうして家事の合間をぬってBlogやホームページを更新したり、年間数本であるけれどフリーライターとして仕事をしたりしているのは、どこかで「主夫だけではない自分」を主張したいからだ。文章で何かを表現することは自分のやりたいことであり、今のぼくが社会とコミットしていくための重要なラインでもある。
 こんな立場のぼくに「イージー・ゴーイング」は、やけにリアルに感じられる一冊だった。

 長々と自分のことを書いてしまったが、頑張っている姿や自分を押し殺すことは他人からの評価を得やすい。我慢してでも一流企業で働いていれば、世間的にはエリートと評価され、一定以上の収入は得られるだろう。しかし、無理をしないで生きることは、時にはぐうたらと勘違いされるし、リスクもあるし、ある種の度胸も必要だろう。つまり、頑張るよりも、時には勇気やパワーが必要かもしれない。
 
 昔もらったサインに「Keep On Roling!」と書き添えてくれた山川健一が、少し変わり始めたなと感じたのは数年前からだ。例えば仏教的な考えがエッセイに反映されるようになった。そして最近になって出版されたのが「幕末武士道、若きサムライ達」と「新選組、敗れざる武士達」だ。
 この二冊はまだ読んでいないが、正直なところタイトルを見ただけで「おいおい、武士道と新撰組かよ。あんたはロックが大好きで、Keep On Rolling!だったんじゃなかったのか」と思ってしまった。

 でも、「イージー・ゴーイング」を読んで「きっと『無理しないで、自分らしく生きる』ってのは『Keep On Rolling!』だな」と感じた。肩の力は抜けたけれど、きっと山川健一の本質は変化していない。むしろリラックスしている分、少し前よりも確信に満ちているのではないだろうか。
 この本の中で少しふれられている憲法九条や言霊の話にも共感ができるから「幕末武士道、若きサムライ達」と「新選組、敗れざる武士達」も読んでみようかと思っている。

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