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さらに「Zen Micro」について

Creative Zen Micro 5GB ホワイトモデル(HDDプレイヤー)
B0006J08DE

 すっかり、その魅力にはまってしまった「Zen Micro」。シャッフル再生の面白さを知ると、普通にCDを再生してJBLのJ216PROで聴くことを忘れそうになってしまって、少々怖い。
 実は今も「Zen Micro」を聴きながら書いているのだが、パティ・スミスの「ビコーズ・ザ・ナイト」、ローリング・ストーンズの「ウエイティング・オン・ア・フレンド」、エルビス・コステロの「ベロニカ」、キンクスの「ウオータールー・サンセット」と見事に緩急をつけた再生をしたので驚いてた。もちろん、バッチリはまる選曲ばかりをするわけではないが「こいつ、やるなあ」と思う時が多いのだ。

 今回はいくつか購入したアクセサリーの話。
 ワイヤードリモコン、AC電源用充電アダプター、ネックストラップなど、「ipod」なら別売りのオプションが標準添付の「Zen Micro」は普通に使うのなら、あえて買い足すものはないだろう。
 しかし、車で再生しようとするといくつかのアクセサリーが必要になる。バカ売れしている「ipod」ならサードパーティーのオプション品が充実しているが、「Zen Micro」の場合にはその手のものがまったくないので、自分で探すことになる。

 まず、近くのカーショップで携帯電話用のホルダーを買った。店に「Zen Micro」を持って行き、パッケージにあてがってサイズを確認したので、ピタリとはまった。
 エアコンの噴出し口に取り付けると運転しながらでも操作が可能だし、なかなか使い勝手が良い。携帯電話用のホルダーは、カーショップにずらりと並んでいるので、サイズの合う好みものがチョイスできると思う。

 次にカーラジオに音を飛ばすオーディオテクニカのFMトランスミッターを買ったが、これが大はずれ。出力が弱い上に、ノイズを拾いまくり、とても使えたものではない。
 あえて、アマゾンの商品ページにもリンクをしておくが、これは買っちゃダメ。カスタマレビューも不評の嵐だ。

audio-technica AT-FMT5 SV カーFMトランスミッター
B00008B5QL


 結局、音を飛ばすことはあきらめて、ホームセンターでカセットアダプターを買った。コードは邪魔だが、値段は安いし、カセットが車に装備されているなら、これが手堅い選択かもしれない。これも商品によっては音質の差があるようだが、ぼくの買ったオーム電機のカセットアダプターは、それほど悪い音ではない思う。

 最後にケース。これも「ipod」なら選択肢がたくさんあるが、「Zen Micro」には専用のものなどない。添付のケースは後ろにクリップがあってベルトなどに付けられるが、前面の液晶などは保護しないし、分厚くなってしまう。小さな布製ポーチも付いてはいるが、これはおまけみたいなものだ。
 ぼくは「道具は使い倒してなんぼ。傷もつくやろ」とそのままフリースの胸ポケットに放り込んでいるが、夏になると胸ポケットのある服は着ない。かといって、ネックストラップでぶら下げるのも、どうかなと思う。
 いずれ何ならかのケースを買うだろうが、このタイプの薄型デジカメのケースなら使えるはずだ。
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| MP3プレイヤー | 11:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「Rubber Soul」 アイドルでもアーチストでもなかったビートルズ

Rubber SoulRubber Soul
The Beatles


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 「初期のビートルズ」といういい方がある。それがどこからどこまでを指すのかは人によって解釈の違いはあるだろうが、ぼくはアルバムでいうと「プリーズ・プリーズ・ミー」から「フォア・セール」までが「初期のビートルズ」だと思っている。

 今回レビューする「初期のビートルズ」ではない「ラバーソウル」はジャケットからして、これまでのものとは違う。もはやアイドルとしてのビートルズではないし、微妙にゆがんだジャケットに写ったメンバーの顔には微笑みがない。

 ぼくはリアルタイムでビートルズを聴いたわけではないから、あくまでも想像だが「ラバーソウル」の一曲目「ドライブ・マイ・カー」がスピーカーから流れてきた時、当時のファンたちはぶったまげたはずだ。
 R&Bやソウルのテイストを感じるポールの「ドライブ・マイ・カー」は、これまでのビートルズにはなかった曲調。まるで「これについてこられなかったら、置いていくぜ」と居直ったかのような曲だ。
 続く「ノルウェイの森」では左チャンネルからシタールの音が断続的に流れる。今でこそ、これはインドの民族楽器の音色と分かっているが、何の情報もない発売直後はとても不気味な音に聴こえたのではないだろうか。

 とりあえず、最初の二曲でこれまでとは違う方向性を示したビートルズ。あとはやりたい放題である。
 「ノーウエア・マン」ではジョンが見事なコーラスワークで自分の孤独な内面を描き、「ガール」では唄の途中のブレス(息継ぎ)さえもメロディーに同化させる。「イン・マイ・ライフ」はジョンが故郷のリバプールを振り返ったものだが、決して甘ったるくならないところが、さすが。ポールのラブソング「ミッシェル」だって、どこかハードボイルドな感じがする。
 ジョージも名曲「イフ・アイ・ニーデッド・サムワン」を残し、リンゴは「ホワット・ゴーズ・オン」で初めて曲の作者としてクレジットされた。

 ついでに忘れちゃいけないのは「ラバーソウル」に先行して発売されたシングルレコードの「デイトリッパー」と「恋を抱きしめよう(We Can Work It Out)」である。
 リフが印象的な「デイトリッパー」と「人生は短くて、友達と争っているヒマなんてない」と唄う「恋を抱きしめよう」は、なんと強力なカップリングのシングルレコードだったのだろうと思う。
 現在、この二曲は「パスト・マスターズVol.2」で聴くことができる。

 「ラバーソウル」を製作した1965年、ビートルズはまだアイドルでハードなツアー(日本に来たのは翌66年である)をこなしていた。しかし、「ラバーソウル」のビートルズは、もはやアイドルではない。自分たちの音に対して自覚的なアーチストに変化しつつあった。
 このアルバムが起爆剤となって、近頃評価の高い次作「リボルバー」、そして「サージェント・ペパーズ~」が発表されるのだが、それらのきっかけになった「ラバーソウル」が「実は一番すごいのではないか」と最近は感じている。
 抽象的な表現だが「ラバーソウル」の独特な音の肌触りは、これ以前のビートルズにもこれ以後のビートルズにもない。アイドルとアーチストの中間期に作られたからこそ「ラバーソウル」は生み出されたように感じるのだ。

 しかし、最も驚異的なのはビートルズがデビューからわずか三年で「ラバーソウル」を作り出したことだ。62年のデビューから全力疾走を続け、成長期にあった天才たちの一年は、普通の一年ではなかったのである。

| ビートルズとその周辺 | 11:38 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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その後の「Zen Micro」

Creative Zen Micro 5GB ブラックモデル(HDDプレイヤー)
B0006J08DO

 Creativeの「Zen Micro」を買ってから約二週間。すっかり音楽の聴き方が変わってしまった。
 アルバム全曲を取り込むことはせずに、一週間ほどかけて思いついた好きな曲を手当たり次第にリッピングして、タバコの箱より小さく薄いボディの中に500曲弱の曲を詰め込んだ。それでも使ったHDDの領域は三分の一程度。さらに1000曲が入る計算だが、とりあえずフェイバリットソングというくくりでは思いつく曲がなくなった。

 これを全曲シャッフルして再生しているのだが、巨大なジュークボックスを持ち歩いているようなもので、面白いったらありゃしない。本体そのもののは小さくて軽いから、掃除や洗濯、子供との散歩などの主夫業の友として、常に身に付けている。目新しさもあるが手放せなくなってしまったのだ。FMトランスミッターも買ったので、車のBGMもCDチェンジャーから「Zen Micro」に変わった。

 この掲示板を見ていると、色々な不具合や初期不良もあるみたいだが、ぼくの「Zen Micro」は快調。いまのところ、何のトラブルもない。
 音楽再生以外の機能であるボイスレコーディングも使ってみたが、充分に実用の範囲。マイクの感度や録音の音質は良いとはいえないが、インタビューを原稿に起こす用途になら使える。FMの受信感度は使う場所によって差はあるものの、まずまず良好。付加的な機能と考えれば、満足のいく出来だろう。

 ただ、付属のイヤホンの音質には不満があった。どこか、薄い不透明な膜がかかったようでクリアな音ではないのだ。これはどのプレイヤーにもある傾向のようで、コスト面から付属のイヤホンはとりあえず聴ける程度のものであることが多いらしい。
 これまでポータブルプレイヤー用のイヤホンなどには興味がなったので気付かなかったが「良い別売りのイヤホンはないか」とネットを探してみると、様々なメーカーから幅広い価格帯で、膨大な数のイヤホンが発売されていることが分かった。

 選択肢が多いので少々悩んだが、ぼくが買ったのはSennheiser(ゼンハイザー)のMX400というイヤホン。チョイスの理由は既にSennheiserのヘッドホンを使っていて、その音に盲目的な信用があるからだ。
 近くに売っている店などないのでネット通販で買ったが、送料込みでも2000円でおつりがくる程度の値段。しかし、イヤホンを変えた効果は絶大である。これまで感じていた不透明さがまったくなくなり、高音から低音まで素直でクリアな音が耳に流れ込んできた。
 白で統一されているコード類にグレーが加わってしまうのは残念だが、金額を考えれば、悪くない投資だと思う。

| MP3プレイヤー | 11:32 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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初めてのデジタルプレイヤー「Creative Zen Micro」

Creative Zen Micro 5GB レッドモデル(HDDプレイヤー)
B0006J08D4

 アマゾンで「iPod shuffle」を発売前に予約をしたものの、入荷の連絡が来る気配がない。発売直後はわざと品薄状態にして、購買意欲をあおるのがアップルの戦略なのかもしれないが、充分な量を確保してから発売に踏み切るべきだと思う。ペレストロイカの前のソ連じゃあるまいし、少しは待てても欲しいものは欲しい時に手に入れたいのだ。ネット上ではほぼ新品がプレミア付きの値段で売られていたりする。こういうのは、やっぱりおかしなことだと思う。
 さらに、予め慣れておこうと「iPod shuffle」を使うのに必須のソフトである「iTunes」をインストールしてみたが、これがどうにも使いづらいし、なじめない。

 「もう待てん、iPod以外のプレイヤー買うぞ。iTunesもアンインストールじゃ!」と逆上しながら、ネットで他のプレイヤーの情報を探していると、Creativeの「Zen Micro」が良いように思えてきた。

 そこそこコンパクトで5GBの容量、バッテリーの駆動時間はカタログ値で12時間。FMも受信と録音ができて、ボイスレコーダー機能もあり、マイクの感度に問題がなければ、これまでインタビューの仕事の時に使っていたテレコの代わりに使える。ついでにiPodではオプションのリモコンや充電用のACアダプターなども標準添付だ。
 スタイルは石鹸箱を半分に切ったもののようでお世辞にもかっこいいとはいえないが、カラーは10色の中から選べて、フロントパネル全体を照らし出す青いバックライトのギミックもあって、タッチパットでの操作も楽しそう。

 「これにしょうかなあ。でも、それほど安くはないし、多機能だから良いってわけでもないやろう」と悩んでいると、ある掲示板で「今なら、ツクモ電機のウエブサイトで台数限定の特価販売中」という書き込みがあった。早速見てみると確かに相場よりも随分と安い(今は元の価格に戻ってしまったが)し、ツクモ電機では昨年パソコンを買ったので使っていないポイントもある。「エーイ、買っちゃえ」と「iTunes」の予約をキャンセルしてから、「Zen Micro」のレッドモデルをクリックした。

 4日前に「Zen Micro」は届き、夢中で使っている。面白いのだ、これが。
 まず、音についてはまずまずだと思う。むしろ、このサイズでこれだけの音がでるのは、日常生活の中で大きなオーディオ機器を使っている者としては驚異的である。他のプレイヤーを使ったことがないので比較の対象はないが、さすがにPC用のサウンドボードで有名なCreativeが作ったものだ。
 付属のソフトの使い勝手も悪くない。それほど悩まずにプレイヤーに音楽ファイルを転送できたし、CDからリッピングした音楽ファイルをPCに取り込まず、直接プレイヤーに送ることも可能。転送速度もストレスを感じない速さだ。

 「イマイチかな」と感じていたデザインも、実物に触れると「それほど、悪くないなあ」と思えてきた。メーカーのホームページで見るほど安っぽくはないし、すっぽり手に収まるサイズと形状で使いやすい。
 タッチパッドに触れると青く光り、スーッと消えていくバックライトも楽しい仕掛けだ。フロントパネルが赤、ケースが白、バックライトが青でトリコロールカラー。これは密かな自己満足。
 クレードルとされているが、実はただのプラスチックケースも意外に使える。後ろに付けるクリップは大きいけれど、服に挟むにとどまらず、応用的な使い方もできそうだ。
 一回のフル充電での再生時間は今のところ6~8時間。日常で使うには支障のない、まあ満足のいく時間だろう。あと数回完全放電と充電を繰り返せば電池本来のパワーが出るようになり、再生時間はもう少し延びるかもしれない。
 空の状態からフル充電までの時間はカタログ値では、AC電源で三時間となっているが、実際にはもう少し早い2時間半ぐらい。これも悪くない数字だと思う。PCのUSBポートからの充電も可能だが、AC電源からよりも時間がかかる。

 難があるのは、操作性とマニュアル。タッチパットでの操作自体は一日も触れば慣れてくるのだが、最初はとても使いづらかった。おまけに出荷時のタッチパッドの感度設定が「中」で敏感過ぎる。クリックしているつもりはないのに、押したと判断されてしまうのだ。
 最初にプレイヤーの言語を初期設定の「英語」から「日本語」に変えるのだが、これがもう大変な作業だった。スクロールの速度が速いから目標を通り過ぎてしまうし、おまけにスクロールしたつもりがクリックと判断され、言語がハングル文字になってしまい、メニュー画面に何が書かれているか分からなくなり、日本語に設定するのが一苦労だった。
 今は感度設定を「低」にしているので、最初のようなミスタッチはない。むしろ高速なスクロールが快感だ。しかし、日本向けの製品なんだから言語は最初から日本語、ついでにタッチパッドの感度も「低」に設定して出荷するべきだと思う。

 次にマニュアル。ごくごく簡単なマニュアルは箱の中に入っているが、実際に使いこなそうと思えば、添付のCDに入っているPDF形式のオンラインマニュアルを見る必要がある。つまり、PCが必須なのだ。PCと連携させて使うものだから、これでも良いのだが、ちょっと使い方が分からなかったりした時に、いちいちパソコンの電源を入れるのは面倒だ。簡単なものでいいから、設定や使い方の紙のマニュアルを付けてほしかった。
 いくつかの欠点はあるが「Zen Micro」は悪い選択ではなかった。天邪鬼な性格なので、むしろみんなが持っているであろう「iPod」にしなくて良かったとも思う。

 既にポータブルなオーディオプレイヤーを使っている人は「何を今さら」だろうが、新しい音楽の聴き方が小さなボディの中にある。「これは音楽の聴き方の革命だなあ」とさえ感じる。
 とりあえず好きな曲ばかりを300曲ほどぶちこんでランダム再生して聴いているが、一曲3分としても15時間分の曲が入っているので、半日使っても同じ曲はかからない。おまけに「ほーっ、こういう曲順でくるか」という瞬間が何度もある。
 もちろん、プレイヤーが意図して再生しているわけではなく、偶然(自分がその曲をチョイスしたのは必然かもしれないけれど)なのだが、その偶然に驚いたりする。好きな曲しかかからない有線放送みたいなものだ。

 こういう音楽の聴き方をしていると、パッケージとしてのCDやリリースされる形式がアルバム単位である必然性がなくなる。CDからリッピングする手間を考えれば、最初からMP3などのデータの方がより手っ取り早いし、欲しい曲だけを買えればいいのだから、オンラインのミュージックストアはこれからますます繁盛するだろう。
 SPレコードの出現によって、家でも手軽に音楽が楽しめるようになり、LPレコードが長時間再生を可能にした。そしてCDになって盤をひっくり返す、レコード針を取り替えるという手間から開放され、より手軽に音楽が楽しめるになった。そして、今は手のひらサイズのプレイヤーに千曲以上を詰め込んで、ランダムに再生する時代だ。
 おそらく音楽のあり方はここ数年で変わる。すぐにCDなどのパッケージメディアがなくなることはないだろうが、音楽とその周辺産業は音を収録するメディアによって、その形態を変えてきたはずだ。

 でも、ぼくはビートルズの「サージェント・ペパーズ~」や「アビー・ロード」などの、アルバム単位で聴かないと意味がないと感じている作品をMP3で解体する気にはなれない。
 これは古い考えかもしれないけれど、過去にはそんなアルバムが何枚もあって、それらは今聴いても素晴らしい。CDで聴いてもスキップはしないし、かつてのA面とB面の間で休憩をとって、タバコに火をつけたりもする。
 レコードの時代にあった60分に凝縮された音の世界の感覚は、CDで育った人たちには理解し難いかもしれないけれど、未だに頭の中から消え去らないのだ。

 テクノロジーの変化には逆らえない部分はあるし、先進的な道具は魅力的だけど、手のひらサイズのプレイヤーと平行して、レコードプレイヤーも使ってみようかなとも思う。
 音楽が本来持っているパワーは、1インチのハードディスクには収まりきるものではない。「Zen Micro」で好きな曲をランダムに聴きながら、そんなことを考えてしまうのは、一枚のレコードを大切に擦り切れるまで聴いた経験があるせいだろうか。

| MP3プレイヤー | 11:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ジャズという大地から飛び立とうとする瞬間の記録「マイルス・イン・ザ・スカイ」

Miles in the SkyMiles in the Sky
Miles Davis


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 1968年にリリースされた「Miles in the Sky」は、マイルス・ディビスが伝統的なジャズから、ついに飛び立つ瞬間を捉えた貴重なアルバムだ。
 ビートルズが「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」を発表し、クリームがロックなのにジャズのような長いアドリブをステージで繰り広げ、ジミ・ヘンドリックスが爆音ギターをかき鳴らした時代に、マイルス・ディビスだって、のんきに旧来のモダンジャズを繰り返しているわけにはいかなくなったのだろう。サイケデリックの全盛期、ジャケットもサイケである。

 一曲目の「Stuff」でハービー・ハンコックがエレクトリック・ピアノ(スタジオに行ったら、いきなりマイルスに「おまえ、今日からこれを弾け」といわれたらしい)ロン・カーターがエレキベースを弾き、二曲目の「Paraphernalia」ではジョージ・ベンソンがエレキギターで参加。部分的ではあるが、ついにマイルス・ディビスのバンドにエレクトロニクスサウンドが導入されたのだ。

 でも、楽器に電気が通ったからといって出てくる音が急に変わるわけではない。その後のピリピリと刺激的なエレクトリック・マイルスのサウンドからすると、このアルバムはジャズというジャンルから半歩踏み出した程度。マイルス・ディビスのトランペットから出てくるフレーズも、変化の兆しはあるものジャズそのものである。
 しかし、このアルバムから先、マイルス・ディビスの音が大きく変化し、ロックやファンクのフィールドにも羽ばたいてく予兆は、そこかしこに見つけることができる。つまり「Miles in the Sky」は変化の過程を楽しむアルバムだ。

 強引で急進的な印象のあるマイルス・ディビスは、意外にも慎重で少しずつ歩を進めるタイプだったのではないか。一気にエレクトロニクスサウンドを導入するのではなく、まず二曲、それも部分的に試してみる。そして、試行錯誤を繰り返しながら次のステップへ。マイルス・ディビスの歩みは、実に慎重で着実だ。

 ようやく一歩踏み出したマイルス・ディビスは、この後に怒涛の行進を続ける。「Miles in the Sky」ではジャズとロック、ファンクの中空を漂っていたが、更にエレクトロニクス化を推し進め、わずか一年弱で「In A Silent Way」という既存の音楽のジャンルには当てはまらない、今聴いても新鮮な傑作アルバムを生み出すのである。

| ジャズの名盤 | 11:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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マイルス・ディビスの「フォア・アンド・モア」

Four & MoreFour & More
Miles Davis


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 このところ、マイルス・ディビスを集中的に聴いている。新たなメインスピーカーのJBLのJ216PROは、マイルス・ディビスのトラペットがとても気持ちよく鳴るからだ。
 これまでかなりの枚数のマイルス・ディビスのアルバムを買い、それなりに聞き込んできたつもりだが、スピーカーを変えてから彼の音楽がより深く分かるようになってきた気がする。やはり、音の質というのは、音楽を理解するうえでとても重要なファクターだ。

 今日、昼間に聴いたのは1964年のライブ盤「Four and More」。
 トニー・ウイリアムズの恐ろしいまでに冴え渡ったドラムが繰り出すビートに、マイルス・ディビスのトランペットが過激にからむ。そのスキをついてハービー・ハンコックのピアノがリリカルに迫るという感じで、全編に渡ってホントに素晴らしい。

 村上春樹は「ポートレイト・イン・ジャズ」の中で「『フォア・アンド・モア』の中でのマイルスの演奏は、深く痛烈である」と書いている。
 「深く痛烈」。見事なまでにこのアルバムの核心をついた表現で、もう書くべきことはない。あえて付け加えるなら「Four and More」の「深く痛烈」なマイルス・ディビスは、できるだけ大きな音で聴くべきだと思う。

| ジャズの名盤 | 11:20 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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