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新潟への帰省とBOSE MediaMate II

 19日から1週間ほど、妻の実家のある新潟県中越地方に、2人の子供を連れて帰省した。滞在中に中越大震災からちょうど1年を向かえたが、人々の暮らしは以前の平静を取り戻しているようにも見えた。
 しかし、車で長岡から震災で大きな被害を受けた小千谷市に向かうと、国道はあちらこちらで工事中。脇の歩道には波をうったままの部分が残っていて、空には山古志村方面に飛んでいく何台ものヘリコプター。小千谷市の中心部にも歯が欠けたような空き地が目立った。
 親戚の集まりでの話題も震災の話が多く、実体験を聞くとテレビのニュースが事実の断片しか報道していないことに、改めて気付かされた。本当の復興はまだまだこれからである。
 震災の大きな爪痕を感じながらも、2年ぶりの新潟ではうまい日本酒や料理を楽しんだ。実家の外に広がる田んぼや日本的な風景も、北海道とはまるで異なり、とても新鮮だった。

 ウルトラマン好きの子供にせがまれたて行ったのが、柏崎にある「こどもの時代館」
 行く前は家族サービスのつもりだったが、ここは昭和30~40年代に生まれた人には涙モノの博物館。子供の頃に遊びまくったおもちゃ、買ってもらえなかったあこがれのおもちゃが「これでもか!」というぐらに並んでいる。圧倒的なアイテム数である。
 子供をそっちのけにして、ショーケースの中をうっとりながめてしまった「こどもの時代館」は、近くに行った時は立ち寄る価値のある博物館だ。
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 最後に新潟での音楽ネタ。
 友達のパソコンの両脇に置かれていて「これ、いいなあ」と思ったのが「BOSE MediaMate II」。BOSEが発売しているアンプ内蔵のマルチメディアスピーカーだが、サイズからは想像できないような音が出てくるのだ。
 「卓上での近接視聴のために制作された」らしいので、スピーカーの近くに座ると「これがパソコンから出てくる音か」と思うほど。パソコンに標準で付属しているスピーカーやPCのパーツショップで売られている数千円スピーカーとは、明らかにレベルが違う音である。小さくてもBOSEらしい低音の響きは健在で、小さな音量で聴いてもバランスの良い音が楽しめる。

 試しに持って行った「Zen Micro」を接続して鳴らしてみると、これまたいい感じ。
 家では仕事を時のBGM用に「Zen Micro」からFMトランスミッターでチューナーに音を飛ばして、BOSE314という大きなスピーカーを鳴らしている。しかし、少しまともなオーディオシステムで再生すると、デジタルで圧縮された音のアラが目立つ。CDに比べると音質の差がありすぎて、あまりボリュームを上げる気がしないのだ。
 その点「BOSE MediaMate II」なら音のスカスカ感が目立たないし、仕事のBGM用には充分な音が出るので、近いうちに買おうかなと思っている。

 もちろん、大迫力の音量や豊かな音像は期待してはいけないけれど、パソコンやデジタル・オーディオプレイヤーと組み合わせれば、数万円のミニコンポよりまともな音がする「BOSE MediaMate II」は、ポータブルで安価な家庭用のオーディオシステムとして充分に使えるはずだ。
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| オーディオのお話 | 14:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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さり気にポールの才能が爆発する「バック・トゥ・ジ・エッグ」

Back to the EggBack to the Egg
Wings


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 これまでこのBlogではジョン・レノンやビートルズのことは書いても、ポール・マッカートニーについてはあまり触れてこなかった。もちろん、嫌いではない。未だにビートルズの名曲の数々を聴くと、ポールは天才的なメロディーメーカーだと思う。
 ビートルズを聴き始めた頃、まずポールのファンになった。ロック初心者にはジョンよりもポールのほうが分かりやすかったからだ。ソロアルバムにしても「ジョンの魂」よりも「バンド・オン・ザ・ラン」のほうが好きだったし、アルバム以外にも「アナザー・ディ」「マイ・ラブ」「ハイ・ハイ・ハイ」「007死ぬの奴らだ」あたりのシングル盤も揃えた。

 しかし、いつしかポールと距離を取るようになった。ちょうどパンクが出てきて、シンプルで勢いのあるロックばかり聴いていると、ポールの曲は時に甘すぎる砂糖菓子ようで、刺激が感じられなくなったのだ。
 さらに決定的な出来事があった。1980年の大麻所持による来日公演中止だ。チケットも完売し、成田空港まで来たのに、税関で大麻所持が発覚して強制送還。待ちわびた来日公演はあっけなく中止になった。ファンとしてみれば「ポール、何てことをするんや!苦労してチケットを手に入れたのに」である。
 おまけに直後にリリースされた「McCartney II」には「FROZEN JAP(冷たい日本人)」なんて曲があって、ポールのことがますます分からなくなってしまった。以来、新曲はラジオなどで耳にしながらも、ポールとは微妙な距離を感じたままなのだ。

 そんな個人的な感情は抜きにして、未だに好きなアルバムが「Back to the Egg」。ウイングス名義ではラストアルバムになり、セールス的にも失敗に終わったが、内容的には悪くない。いや、これは隠れた名盤だ。
 リリース当時の売りはピート・タウンゼンド、デイヴ・ギルモア、ジョン・ボーナム、ジョン・ポール・ジョーンズ、ロニー・レインなどが参加したロックミュージシャンによるオーケストラの「ロケストラ」による「Rockestra Theme」と「So Glad to See You Here」が収録されていることだったと思う。
 しかし「ロケストラ」は少し期待外れだった。あくまでもロックオーケストラであって、ピート・タウンゼンドのぶち切れたギターソロやジョン・ボーナムのヘビーなドラミングなど、個人のインタープレイが楽しめるわけではないのが残念なところ。

 でも、曲自体はポールのソロアルバムの中でも粒ぞろい。ぼくは「Band on the Run」にも匹敵するのではないかと思っている。中でも好きなのが「Arrow Through Me」。曲に漂うなんともいえぬ浮遊感がたまらない。
 さらに良いのが「After the Ball~Million Miles」と「Winter Rose~Love Awake」のメドレー2連発。ここが「Back to the Egg」の一番の聴きどころかもしれない。ポールの才能がさり気に大爆発しているところが、ホントに素晴らしい。

| ビートルズとその周辺 | 11:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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28年前、誕生日に買った「アビイ・ロード」

Abbey RoadAbbey Road
The Beatles


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 初めて「アビイ・ロード」を買った日は、今でもはっきりと覚えている。1977年10月11日、つまり28年前の今日だ。
 実は今日はぼくの誕生日。43歳にもなると誕生日はそれほどうれしい日ではない。でも、ビートルズがレコードデビューした1962年に生まれて、ジョンとは2日違いの誕生日だけど星座と血液型が同じなのが密かな自慢だ。

 ぼくがビートルズが好きになったは1977年の春休みにテレビで見た映画「レット・イット・ビー」がきっかけ。ムッシュかまやつがナレーションをしているという、とんでもないバージョンの「レット・イット・ビー」だったけれど、ビートルズが急に好きになった。
 そこから、熱病にかかったように毎日ビートルズを聴き続ける日々が始まった。当時、LPレコードは高価で2500円もしたので、中学生がおこずかいで手軽に買えるものではなかった。500円のシングルレコードを二ヶ月に一枚くらい買い、あとはラジカセ(ステレオではなくモノラル)で、AMやFMでオンエアされるビートルズの曲を手当たり次第に録音しまくった。また、古本屋でビートルズの本を何冊も買い、彼らのバイオグラフィーやレコードについて学んだ。

 そして、ようやくやって来た誕生日。ビートルズのLPレコードをプレゼントしてもらうつもりだったが、どうしても自分で買いに行きたかったので、父親から手渡された千円札3枚を手にレコード店へ走った。
 いつもは遠慮がちにながめるだけのLPレコードのラックの前に立ち、一枚一枚引き出してゆっくりと品定めする。実は買うレコードは決まっていた。店に入る前から「アビイ・ロード」を買うつもりだった。「アビイ・ロード」を選んだ理由は、ラジオではまず流れないB面の「You Never Give Me Your Money」で始まるメドレーを聴きたかったからだ。でも、あこがれのビートルズのレコードを時間をかけて選ぶふりをしたかった、ジャケットをじっくりとながめたかったのだ。

 おまけにビートルズのポスターをもらって、大喜びで家に帰る。そして、ジャケットから黒い紙のインナースリーブに入ったレコードを慎重に取り出し、プレイヤーにセットする。当時、家にあったのはプラスチック製のポータブルなレコードプレイヤーで、子供の頃によくソノシートを聴いたものだ。
 内蔵されたスピーカーから出てくる音は、とてもチープなものだったと思う。でも、あれほど感動的なビートルズは後にも先にもないだろう。


 ぼくが最初に買った「アビイ・ロード」はビートルズが最後にレコーディングしたアルバム。発売順では「レット・イット・ビー」が最後だが、ホントのラストアルバムは「アビイ・ロード」だ。
 プロデューサーのジョージ・マティーンの証言によると、ビートルズは「アビイ・ロード」が最後のアルバムになると確信してレコーディングをしていたらしい。既に空中分解状態で、グループとして機能していなかったビートルズ。しかし「アビイ・ロード」のために、最後の団結をみせたのだ。

 あとがき的な曲の「Her Majesty」はあるけれど、メドレー最後の「The End」は、ビートルズ自身が演出した正真正銘のエンド・マーク。「最後にひと言。キミが手に入れる愛は、キミが与える愛と同じ大きさ。愛とは自分で作り出すものなのさ」という歌詞で終わる「アビイ・ロード」は、ビートルズの幕引きにふさわしい傑作だ。

| ビートルズとその周辺 | 10:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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明日はジョン・レノンの誕生日

 明日はジョン・レノンの誕生日である。生きていれば65歳。しわくちゃのポールやすっかり頭が禿げ上がってしまったキースを見ていると、ジョンも白髪でしわが刻まれた顔になったのかなと想像してしまう。
 しかし、ぼくの中でジョンの時間は40歳で突然止まってしまっているので、年老いた顔は頭の中ではっきりとした像を結ばない。凶弾に倒れる直前のキリリとシェイプされ、すっきりとしたおだやかな顔のジョンがいつまでも微笑んでいるだけだ。

 実は、ジョンのソロアルバムを聴くのには勇気というか気合いが必要だ。とても、気楽に聴く気分にはなれない。あの事件は18歳の時の痛い思い出である。未だにそのダメージを引きずっているつもりはないけれど、ビートルズ解散後のジョンと向き合うのはなんだか気が重いのだ。
 でも、昨日の晩はジョンの誕生日が近いことあって、久しぶりに「ジョンの魂」を聴いてみた。リマスターされたミレニアムエディションがリリースされたこともあって、最近ではCDにボーナストラックが2曲追加されている。しかし、余計なおまけは不要。「ジョンの魂」は絶対に「Mother」で始まり「God」と「My Mummy's Dead」で終わらなければならない。
John Lennon/Plastic Ono BandJohn Lennon/Plastic Ono Band
John Lennon


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 「ジョン・レノン・ネイキッド」ともいえる「ジョンの魂」ほど、ジョンが自分自身をさらけ出したアルバムはない。ここにはビートルズのジョンもいなければ、ロックンローラーやラブ&ピースのジョンもいない。
 ジョンのギター、クラウス・ボアマンのベース、音数は少ないのにジョンの歌声に驚くほど献身的なリンゴ・スターのドラム。サウンドには余計な装飾がなく、歌詞もいたってシンプル。何をしてもポップであることが宿命だったビートルズ解散直後に、ジョンは極めてパーソナルでシンプルな内容のアルバムを作ったのだ。

 「ジョンの魂」は鐘の音に続いて「おかあちゃんが、どこかに行ってしまった」で始まる。「God」では「ビートルズなんて信じない、夢は終わった」と毒を撒き散らしながら、まだ甘い夢を見ているファンを蹴飛ばし、栄光の60年代にけじめをつける。そして「おかあちゃんは死んでしまった」という歌詞で「ジョンの魂」は終わる。
 ヒリヒリするほど痛切なアルバムだ。でも「Remember」が終わり、爆破音の後にかすかな音のピアノのイントロから始まる「Love」を聴いた時、救われた気がする。「愛と平和のジョン・レノン」は死後に作り上げられた偶像である。でも「Love」のような曲を作るのも、またジョンの本当の姿なのだ。

 ぼくは「ジョンの魂」を聴くたびに、ビートルズの解散にメンバーの中で一番のショックは受けていたのはジョンではなかったかと確信する。きっと、ジョンはビートルズではない裸の自分をさらけ出さないと前に進めなかったのだ。
 極めてパーソナルな内容のアルバムが傑作といわれ、ポピュラリティーを得たことにロックスターのジョンの凄さがある。しかし、10年後に起こった事件を考えると、それは同時に悲劇の始まりでもあったと思う。

| ビートルズとその周辺 | 10:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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唯一の商売道具を新しくしてみると

 ぼくが子育てや主夫業と並行してやっているフリーライター。実は誰でも簡単になれてしまういい加減な商売である。「フリーライター」と書かれた名刺を用意して原稿を書けば、あなたも今日から立派なフリーライターだ(もちろん、仕事があるかないかは別の話だけど)。
 おまけに特別な資格や道具も必要はなく、開業資金はほとんどゼロ。原稿を書くのにパソコン、送信にはメールを使うが、今やどちらも日常のツールなので、改めて買う必要はないだろう。

 そんなフリーライターの唯一の商売道具といえるのがボイスレコーダー。インタビューを録音し、話の内容を確認しながら原稿を書く。
 これがないと困る大切な道具なのに、ぼくはこれまでホームセンターで買った2980円のカセットレコーダーを使ってきた。今や過去の遺産となったカセットテープは手元にたくさんあるし、声が録音できれば良いだけなので、機能的にはカセットレコーダーでも不満はなかったからだ。
 しかし、これが遂にぶっ壊れてしまった。「買い換えるなら、今さらカセットレコーダーでもないだろうなあ」と、良さそうなICレコーダーはないかとネットを検索してみると、近頃ではデジカメの付いたビジュアルICレコーダーやハードディスクを内蔵していて700時間近く録音できるHDDボイスレコーダー もある。しかし、高いだけであまり現実的な機能ではない気がする。

 ぼくが商売道具としてICレコーダを選ぶ際に求める条件は、こんな感じだった。

 1.値段はできれば1万円前後。
 2.PCと接続できて、音声ファイルをハードディスクにコピーできること。
 3.音楽プレイヤーとして使えるなどの余計な機能は不要。
 4.録音可能な時間は5時間以上。

 唯一、条件に見合いそうなICレコーダーがオリンパスのボイストレックVN-480PC。差し迫った仕事もあるので、早速買ってみると、これが正解だった。

VN-480PC VoiceTrek
B0001M4B5C


 手のひらにおさまる小さなICレコーダーを使ってみると「これまでアナログなカセットテープを使っていたオレは何?」と馬鹿らしくなるほどの便利さ。
 録音したインタビューはwavファイルとしてパソコンに保存できるので、これまでのようにカセットをカチャカチャと操作しながら、仕事を進める必要がない。早送り、早戻しも一瞬である。
 内蔵マイクの感度は良好、最もファイルサイズの小さいLPモードで録音しても声がはっきりと聞き取れ、原稿を書く時に参考にする程度なら充分に使える。鮮明に録音したければHQ、SPモードを使えば良いが、その分録音可能時間は短くなる。また、多くの機種ではオプションの外付けのピンマイクが標準添付なのもうれしい。
 電池の持ち時間はカタログデータでアルカリ電池を使った場合は25時間。液晶表示されるバッテリーメータには注意する必要はあるけれど、これまでのようにカセットテープの残りを気にしたり、裏返したりしなくてもいい。なんだか面倒なことから一気に開放された気分だ。

 「こんなことなら、もっと早く買っておけば良かった」と思ったICレコーダー。でも、音声がデジタルになったからといって、原稿書きがデジタルに効率良く進むわけではない。相変わらず原稿の書き出しに悩み、最後の一行が決まらず、〆切が迫ってくる。
 デジタル録音したインタビューを聞き、メールで原稿を送っても、文章を書くという行為はアナログなのだ。デジタル録音になったからといって、名曲や名演が増えたわけではない音楽の世界と同じかもしれない。

| BEATな話題 | 10:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ボブ・ディランのぶちまけ感がたまらない「激しい雨」

Hard RainHard Rain
Bob Dylan


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 前回紹介した「マイルス・デイヴィス・アット・フィルモア」は、とにかくマイルスがかっこいいライブ盤。それで思い出したのが「Hard Rain」(邦題は「激しい雨」)だ。最もボブ・ディランがかっこいいライブ盤が、これである。

 一曲目の「Maggie's Farm」の出だし、チューニングともイントロとも言い難い薄っぺらいギターの音から曲になだれ込んでいく瞬間のかっこよさといったら、数あるロックのライブ盤の中でも一番ではないだろうか。あとはラストの「Idiot Wind」までボブとバンドが勢いまかせで疾走するだけだ。
 演奏はラフでルーズ。時にテキトーと表現していいくらいのプレイだが、足掛け2年に渡ったツアーのローリング・サンダー・レビューの終盤の1976年録音だけに、ボブとバンドの間には阿吽の呼吸が感じられる。

 そして、何よりも素晴らしいのがボブの声だ。全編に渡ってシャウトする声には適度なザラザラ感と艶があって、これぞロック!
 長いキャリアの仲で、何度も声質を変えてきたボブだが、個人的には1970年代の「Before The Flood」から「At Budokan」までの声が最高だと思っている。
 ぶちまけるようなボブの声。でも、よく聴いて欲しい。驚くほどに感情表現が豊かで、ホントは物凄く唄がうまいボブの姿が見えてくるはずだ。

 数年前には、第一次ローリング・サンダー・レビューの様子を収めた2枚組みの「Bob Dylan Live 1975 - The Rolling Thunder Revue」が発売された。これも名盤だが、まとまりが良すぎて優等生的プレイである。「Hard Rain」のぶちまけ感がない。
 これにはボブの私的な事情がある。「Hard Rain」が録音された1976年の第二次ローリング・サンダー・レビューはツアーと平行して製作していた映画「レオナルド&クララ」の資金集めのために行われたが、チケットの売れ行きが不振。さらにボブ自身がローリング・サンダー・レビューという企画に嫌気がさし、愛妻サラとの仲も悪化して離婚寸前。毎晩のように、酒に溺れていたという。そんな感情を隠そうともせず、ステージでぶちまけたボブを記録したのが「Hard Rain」だ。

 本来は甘いラブソングの「Lay Lady Lay」を必要以上にブレイクを繰り返してぶち壊し、「Idiot Wind」では「お前はお馬鹿だ。息の仕方を知っているだけでも奇跡だね、今日も食事ができることすら奇跡だぜ」と毒づくボブ。 
 ぼくもライター業をやっていて、表現者の端くれなのだが、実は自分の感情をさらけ出すというのは意外に難しいし、勇気もいる。私的な感情は包み隠したり、装飾したりしたほうが楽なのだ。しかし、天才は違う。ステージで苛立ちを隠そうともせず、それを平気でライブ盤として発表してしまう。
 ボブの感情が爆発し、暴走しつつも確実に前に進もうとする姿がかっこいい「Hard Rain」は、当時盛り上がりつつあったパンクロックよりも、さらにパンクなロックロールアルバムだ。

 実は「Hard Rain」の様子はアメリカのテレビ番組としても収録されている。日本でもボブの初来日時に放映されたので見たことはあるのだが、これまたかっこよかった。しかし、その後は一度も目にすることができないのが残念。
 現在では、ブートのDVDが購入可能だが、オフィシャルのDVDとして正式発売されないものだろうか。

| ボブ・ディラン | 10:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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二日酔いもぶっ飛ばす「マイルス・デイヴィス・アット・フィルモア」

At Fillmore: Live at the Fillmore EastAt Fillmore: Live at the Fillmore East
Miles Davis


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 昨晩は阪神が優勝したので、ビールかけなんぞを「めでたい、めでたい」とながめながら調子に乗って酒を飲んでいると、ついつい深酒に。
 おかげで今朝は久しぶりに軽く二日酔い気味。自宅が仕事場なので重い足をひきずって出勤はしなくてもいいけれど、今日中に仕上げなければならない仕事がある。

 濃い目のコーヒーを飲みながら、シャッキリした気分にさせてくれる音はないかと、CDラックから取り出したのは「マイルス・デイヴィス・アット・フィルモア」。1970年夏にマイルスがロックの殿堂フィルモア・イーストで繰り広げた4日間に渡る狂乱のライブを収録した2枚組みである。
 とにかく、このライブ盤のマイルスはかっこいい!そして、トランペットの音がヒリヒリするぐらいに鋭いのだ。音の洪水、怒涛のライブなので、頭痛が増す危険性もあった。しかし、ジャック・デジョネットがドカスカとドラムを打ち鳴らし、チック・コリアとキース・ジャレットの2台のキーボードが小競り合いを繰り広げる中、ど真ん中でかっこいいフレーズを連発するマイルスを聴いていると、酒で寝ぼけた頭も一気に目覚めてしまった。
 
 マイルスがロックに最も接近した時代のライブは、道頓堀の馬鹿騒ぎのように騒々しいが、巨人の目の前で優勝を決めた阪神タイガースと同じくらいかっこいい。「ビッチェズ・ブリュー」のように、ロックファンに受け入れられやすい一枚だと思う。

| ジャズの名盤 | 10:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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