一昨日、昨日と、今年初めての出張で帯広へ。同じ北海道でも肌寒い天気の続くオホーツク海側とは違って、十勝平野は汗ばむくらいの気温で、初夏の陽気だった。
新緑が目にまぶしい初夏の十勝を車で走り回って、夕方の5時前には仕事を済ませ、帯広市内のビジネスホテルにチェックイン。
荷物を置いて、すぐに市内の楽器屋巡りへ。場所は仕事の下準備と並行して、ネットで検索済みで、地図をプリントアウトしてある。このあたりは自分でも「ビョーキだなあ」と思うのだが、よく知らない街の楽器屋に行くのは、未知のギターとの出会いが待っていそうで、ワクワクするのだ。
とある楽器屋では、デッドストック状態のグレコのMRを発見。おそらく復刻版のモデルだと思うが、ダブルカッタウエイで少し下ぶくれのデザインが愛らしい1本で、思わず触手が伸びそうになったが、なんとか踏み止まった。このお店にはホナー製のスタインバーガーや、現在では生産されていないPRSのEGなど、魅力的な中古ギターがあって、なかなか楽しませてもらった。
その他のお店でも何本か目ぼしいギターはあったが、買うまでには至らず「やはり、ホントに欲しかったPRSのギターを買った効果はあったなあ」と思う反面、帯広でのギターハンティングが不発に終わった一抹の寂しさあって、少々複雑な気分でホテルに帰った。

翌日も順調に仕事をこなして、5時前には予定がすべて終了。
「さあ、家まで200キロのドライブだあ」と気合をいてれ車を走らせようとすると、道路端にリサイクルショップがあった。
「ちょっと寄ってくか」と駐車場に車を停め、店内へ。しかし、お目当てのギターコーナーが見当たらない。「やはり、今回は成果なしか」と思いながら、古着を見に行くと、革ジャンの下に隠れるようにして10本程度のギターが並んでいた。
その中でやけに目立っていたのが、オレンジ色のストラトキャスターだった。オリンピック・ホワイトからキャンディ・アップル・レッド、アンティグア・フィニッシュまで、ありとあらゆるカラーのあるストラトだが、オレンジ色というのは、あまり見た記憶がない。しかも、少しフェード気味のオレンジだから、地味派手で、やけにかっこいい。値段も手持ちのお金で充分に買える程度だ。
思いがけず、古着コーナーの片隅で見つけたフェンダージャパン製のオレンジのストラトを手にとってながめまわす。
スモールヘッドでスラブボードのローズ指板、3ピースのピックガード、プレスサドル。60年代初期のストラトのコピーのようだが、ペグはクルーソンではなく、ノブにトルク調整用のネジのあるグローバータイプだ。ボディに小さな塗装のはがれが数箇所あるが、キズも少なく、フレットの減りも軽度だ。
いくつかの特徴からすると、最近の「Crafted In Japan」ではなく「Made In Japan」の時代のギターだと思われるが、プライスカードにも型番の記載はなく、ぼくの乏しい知識の中ではモデル名が特定できなかった。でも、帯広のおみやげに1本お買い上げしてしまった。決め手は、やはりレアな色だ。
家に帰って、子どもにおみやげを渡してから、自分へのおみやげであるギターを弾いてみた。スラブボードのストラトらしくファットなトーンは、思いのほかパワフル。でも、適度に枯れていて、良い感じだ。弦高やピックアップの高さなどは、ぼくの好みではなく調整が必要だが、オレンジという色だけではなく、音色も気に入った。
ネットを検索してみると、アルファベットの「O」で始まるシリアルナンバーから93~94年の間に製作されたギターだと推測できた。さらに調べみると、仕様などから「ST-43J」のような気がする。
「ST-43J」は現行の
「ST-50」に相当し、どちらかという初心者向けのエントリーモデルだと思う。でも、ぼくの買ったオレンジのストラトは、トラストロッドの調整穴の位置など、現在のモノとは少しネックの仕様が違う。このあたりは、細部の仕様が変更になった可能性があるのかもしれない。
弦を交換するついでに、ネックを外して、ネックポケットも確認してみたが「ST-43J」の表示はなく、かすかに末尾が「62」と読み取れるスタンプが押されているだけだった。
ひょっとして、限定カラーか。それともショップ・オリジナルのモデルか。いずれにせよ、それほど高価なモデルではないことはまちがいないと思うけれど、このストラトなかなか気に入ってしまった。
もし、このオレンジのフェンダー・ジャパンのストラトに見覚えがある人がいらっしゃいましたら、コメントをいただけるとうれしいです。