2007.11.30 Fri
アビーロード・スタジオの中のビートルズ
![]() | ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実 ジェフ・エメリック ハワード・マッセイ 奥田 祐士 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今月に読んだ本の中で、一番面白かったのが「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」だ。
その偉大さに比例して、ビートルズ関連の書籍は多いけれど、スタジオ内の彼らを描いたものでは、これが決定版といえそうだ。
作者のジェフ・エメリックはレコーディング・エンジニアとして、ビートルズの最初期のレコーディングから最後のアルバムとなった「アビーロード」までに立ち会ったという人物だけに、中身はかなり濃厚である。
ジェフ・エメリックは人事異動でビートルズのレコーディング現場を一度離れたこともあるが、彼らのアルバム中でも最も革新的な音作りが聴ける「リボルバー」からは、メインのエンジニアを務めめている。それだけに、ビートルズのサウンドマジックの秘密の種明かしが満載で、どのエピソードもスリリングだ。
また、鉄壁の団結を誇ったビートルズがバラバラになってしまって、グループのリーダーがジョン・レノンからポール・マッカートニーに移り変わっていく様子、彼らが設立した会社であるアップルのでたらめな経営ぶりなど、フレンドリーで偉大だったグループが崩壊していく過程が詳細に描かれていて、スタジオエンジニアから見たインサイドストーリーという観点からも、とても面白い内容だった。
でも「ホワイト・アルバム」のレコーディング時の徹底的に険悪なムードや、かなり辛らつな表現されているメンバーの性格描写などは、正直なところ読んでいて「なにも、そこまで書かなくても」と思う部分もあり、ビートルズに甘い幻想を抱いたままでいたい人は読まないほうがいいかもしれない。
特にジョンに関しては手厳しくて、気分屋で機嫌が悪くなると手が付けられず、曲を最後までスタジオで我慢強く仕上げるという根気強さに欠けたと指摘。さらに、クスリに溺れていく様子なども描かれているので、ジョンを「愛と平和の人」と思い込んでいると、違和感が大きいだろう。
ただ、以前にも書いたが「愛と平和のジョン・レノン」は彼の死後に作られたイメージである。ぼくの知っているジョンは「港町の不良でマザコン、女好きでジャンキー、晩年はハウスハズバンド。そして、何よりも素晴らしいロックンローラー」だった。だから、ジョンに関する表現は、かえって人間臭くて、好感が持てる部分もあるし、ポールも含めて完璧な天才などいないことを感じさせてくれる。
総ページ数が600ページを越える高価な本だが、レコーディングスタジオのミキシング卓から見たビートルズを詳細に描き、そこからの視点が最後までぶれない「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」は、コアなファンにはおすすめの一冊だと思う。
| ビートルズとその周辺 | 19:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑












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