昔から、最新家電というものにあまり興味がない。必要性を感じれば、そこそこ使えそうな安価なモノを買い、それを壊れるまで使ってきた。
ブルーレイも同じで、とりあえずDVDプレイヤーがあるから手は出さず「もし壊れたら、次はブルーレイにしよう」と思っていた。しかし、近頃ではブルーレイしかないレンタルの映画があるし、アマゾンではブルーレイの輸入盤が千円台で買えたりもする。
例えば、ストーンズの「Some Girls Live in Texas 78」は、現在1723円で販売されている。
日本語字幕や吹き替えの必要ない音楽モノのディスクなら、輸入盤で充分だし、DVDとは異なり、アメリカと同じ地域にリージョンコードが設定されているブルーレイなら「再生できないかも」という心配も少ない。
プレイヤー自体も安くなってきたので「家電は壊れるまで使う」という我が家のポリシーに反し、ブルーレイ・プレイヤーを導入することにした。
買ったのは、ネット上のレビューでも評判のいいソニーの「BDP-S190」だ。
1万円ちょっとの値段だが、普及価格帯のブルーレイ・プレイヤーとしては充分な性能があると思う。画質も32インチの液晶テレビで見ている限りは問題なし。本体もコンパクトで、場所をとらないのも良い。
ただ、HDMIケーブルが付属していなかったので、慌ててホームセンターに買いに行った。昔ながらの赤白黄色のピンケーブルは箱に入っていたけど、普通はブルーレイの接続には使わないはずで、このあたりは少々不親切かもしれない。
お茶の間の映像プレイヤーとして「BDP-S190」に何の不満もないが、思わぬ副産物があった。インターネットにつなぐとテレビで「YouTube」が見られるのだ。
これまでもゲーム機のWiiを使い、テレビに「YouTube」を映したことがあったが、操作性に少々難があり、いつの間にか見るのをやめてしまった。
でも「BDP-S190」の場合は「YouTube」の視聴用のアプリで再生されるせいか、格段に使いやすかった。検索の時のリモコンによる文字入力も、比較的楽にできる。
検索結果に沿った動画を次々と再生していく(頭だけ見て、スキップも可能)ので、お酒を飲みながら見るのにも最適なのだ。
PCのようにサクサクとお目当ての動画を探すことはできないけれど、連続再生することで、これまで見逃していたモノに当たることもあって、なかなか楽しい。32インチのテレビで再生しても、地上波の番組とほぼ同じクオリティーの映像もたくさんあることにも驚いた。
例えば、ローリング・ストーンズのO2アリーナ2日目、クラプトンのゲスト出演だって、かなり鮮明に見えて、臨場感がある。
VIDEO というわけで、ブルーレイ・プレイヤーを買ったのに、ディスクはあまり再生せず、酔っ払いながらテレビで「YouTube」を楽しんでいる。
お茶の間のテレビで、数日前にロンドンで行なわれたストーンズのライブを、しかもオーディエンスが撮影した映像で見るなんてことは、少し前なら考えられなかったことだ。いやはや、すごい時代である。
でも、自戒の意味をこめて「忘れちゃいけない」と思うことがある。
お手軽に、しかも素早くストーンズのライブの様子が知れる時代になったけれど、実際その場に立ち会わないと、ホントのことは分かりはしない。
ついつい勘違いしそうになるけれど、会場の空気感や、アーチストの体から発せられるバイブレーションを感じられないネットの動画を見たところで、それは疑似体験でしかないのだ。
やっぱり、ストーンズのライブを見たい、もう一度彼らのライブ会場に行きたいと思う。