2004.10.22 Fri
マイルスはこの一枚から
![]() | Kind of Blue Miles Davis |
ジャズってのは、ずっと小難しい音楽だと思っていた。ロックの場合、単純明快。メロディやサビのフレーズ、歌声や歌詞の内容に心震わさればいい。一曲の時間だって、例外はあるものの、長いものでも5分くらいだ。
ジャズは違う。ジャズ・ボーカルというジャンルはあるが、基本的に唄はないし、一曲の時間が10分を越えるものも珍しくはない。正直な話、ロックを聴きなれた耳にはジャズは捕らえどころのない音楽のように感じられ、どこをどう楽しんだらよいのか分からなかったのだ。
しかし、今から10年前に買った一枚のアルバムがジャズへの認識を変えた。マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」である。
「カインド・オブ・ブルー」にはジャズにありがちな無駄なアドリブ、冗長なソロパートがない。一曲目の「ソー・ワホット」(「何じゃい、それがどうした」というマイルスの口癖)から最後の「フラメンコ・スケッチ」まで一瞬の隙もないのである。フレーズは熱いのだが、マイルス・デイビスは最後までクール。そのトランペットの音色は例えるなら真っ赤に燃え盛る炎ではなく、静かに燃える青い炎だ。
モダンジャズの最高傑作「カインド・オブ・ブルー」にも欠点はある。スピーカーから出てくる音とは正面から向き合わなければならない。とてもテンションが高いアルバムなので聴く者も緊張をしいられ、リラックスできないのだ。しかし、その緊張感は心地の良いものだし、気持ちをポジティブな方向に導いてくれる気がする。
先日、紹介したビートルズのオリジナル・アルバムはわずかに十数枚。しかし、マイルス・デイビスのオリジナル・アルバムはおそらく百枚以上はあるだろう。その姿を見極めようとすると時間とお金、ついでに根気が必要になる。
でも、マイルス・デイビスというおっさんが気になる人は、とりあえず「カインド・オブ・ブルー」を聴いてみればいい。この音が心に響かなければ残りのアルバムは聴く必要がないからだ。
ちなみに「カインド・オブ・ブルー」が発表されたのは1959年、「ア・ハード・ディズ・ナイト」は1964年。本当に素晴らしい音楽はちっとも古くならない。















