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ロッド・スチュワートの「Foot Loose & Fancy Free」

Foot Loose & Fancy FreeFoot Loose & Fancy Free
Rod Stewart


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 ぼくには「オレはこいつが好きだ!」と大声では言い難いアーチストが何人かいる。
 ロッド・スチュワートは、その一人。彼の名前を出すのは少々気恥ずかしくて、これまでロッド・スチュワートについて書いたことは一度もない。だけど、CDは何枚も持っている。積極的に新譜を買ってきたわけではないけれど、中古のCDをブックオフなどで見つけると、ついついレジに運んでしまうのだ。

 ロッド・スチュワートとの出会いは、NHKの「ヤング・ミュージック・ショー」でライブ映像を見たことに始まる。多分、高校一年だったと思う。「ヤング・ミュージック・ショー」はMTVがなく、ビデオ・クリップがまだ一般的ではない時代(ついでに、ビデオデッキがとても高価で買えなかった頃)に、動く海外のロック・アーチストが見られるほとんど唯一のテレビ番組だった。
 年に数回不定期に放送される「ヤング・ミュージック・ショー」が始まるのは土曜の四時頃が多く、学校から帰ってきてから(昔は土曜日も半日授業があった)レインボーやKISS、デビット・ボーイなどが動く姿を食い入るように見つめた。
 多分、ぼくの世代には「ヤング・ミュージック・ショー」でロックに目ざめた人が多くいるのではないだろうか。

 ブラウン管に映ったロッド・スチュワートは化粧をして、派手な衣装を着ていて、ちょっと気味の悪い奴と思った。しかし、マイクスタンドの使い方などのステージアクションはとてもかっこよく、最後に「セイリング」を歌ったあとに観客席に向けて、思いっきりサッカーボールを蹴る姿にしびれた。ハスキーな声も「これぞ、ロック」と感じさせるには充分だった。

 「ヤング・ミュージック・ショー」がきっかけでロッド・スチュワートのファンになったが、その直後にリリースされた「Blondes Have More Fun」を聴いて、ひきまくった。邦題はなんと「スーパースターはブロンドがお好き」。大ヒットしたが、ピチピチの革パンツをはいて、お尻をフリフリ唄う「Da Ya Think I'm Sexy?」も「サイテーな曲やなあ」と思った。
 それまで、かろうじて渋さを保っていたロッド・スチュワートが絵に描いたようなおバカなロックンローラーになって、彼のファンをきっぱりとやめた。それはあまりにも許しがたい姿だったのである。

 ぼくがロッド・スチュワートのことを許せるようになったのは、先日紹介したジェフ・ベックと競演した「ピープル・ゲット・レディ」のビデオ・クリップを夜中に偶然見てから。多分、この曲が入っているジェフ・ベックのアルバム「フラッシュ」が発売された直後のことだと思うから1985年頃だろう。ロッドの声もジェフ・ベックのギターも素晴らしい「ピープル・ゲット・レディ」は、未だにぼくのフェイバリットソングのひとつだ。
 それからポツポツとCDを買い始め、今では10枚以上を所有している。中でもフェイセスの活動と平行して録音されたソロアルバムの「エブリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリ」や「ガソリン・アレイ」「ネバー・ダル・モーメント」などは傑作だと思う。

 1977年に発表された「Foot Loose & Fancy Free」(邦題は「明日へのキックオフ」)は初めてリアルタイムで聴いたロッド・スチュワートのアルバム。「Hot Legs」や「You're in My Heart(胸につのる想い)」などシングルヒットした曲はFMでよく聴いたし、録音したカセットテープも持っていたが、レコードを買った記憶はない。おそらく、友達からレコードを借りたのだろう。
 そんな「Foot Loose & Fancy Free」が、暮れのアマゾンのバーゲンで710円で投売りされていて「中古より安い」という消極的な理由で買った。しかし、これが素晴らしかった。次回のアルバムで「ブロンド好きのおバカなスーパースター」に変身するロッド・スチュワートとは思えない音である。
 
 一曲目の「Hot Legs」は今聴いても軽快で素晴らしいロックンロールだし、いささか過剰にアレンジしすぎの感はあるけれど「You Keep Me Hangin' On」もかっこいい。さらに全編に響き渡るカーマイン・アピスの重厚なドラムが心地良い。
 ラストの「I Was Only Joking」は、ロッド自身が「心に一番近い歌というのは、簡単に出来上がるのに、書いていて満足感がある。この曲にはぼくの青春がたっぷり詰め込まれているんだ」とベスト盤のライナーに書いたことがある涙モノのバラードだ。

 「学校に通っている頃、ぼくはすべての規則を破ったものさ」から始まり、「怖さを隠すためにふざけていただけ」というサビの「I Was Only Joking」にはロッド・スチュワートの本質が悲しいぐらいに描かれていると思う。ついでに不良の気持ちというものも。
 きっと「ブロンド好きのおバカなスーパースター」は彼の悲しい仮面だったのだ。西日を背にして、虚ろな目をしたロッド・スチュワートが写し出されたジャケットの「Foot Loose & Fancy Free」には彼のホントの姿があると思う。

 今頃になって、あえて「ブロンド好きのおバカなスーパースター」を演じていたロッド・スチュワートのナイーブな内面に気づいたわけだが、彼の最近の方向性には疑問を感じている。大ヒットしている「ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック」シリーズに対してだ。
 還暦が近くなって、アメリカの古きよき時代のスタンダードナンバーを歌いたくなる気持ちは分かる。しかし、ぼくはこう思う。「アンタは生まれついてのロックンローラーだろう?キャリアの最後にフランク・シナトラを気取ってどうするんだい。まともな年の取りかたをする人じゃないだろう」と。
 再び、ロッド・スチュワートの底抜けにおバカなロックンロールを聞ける日は来るのだろうか。

| ロックの名盤 | 11:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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