2007.09.13 Thu
SGの美しさと80年代の日本製エレキの素晴らしさ
今日は前々回のエントリーで、少し思わせぶりに「ギブソンのギターにしては、珍しく生産効率を考えて作られた」と書いたギターについて。
詳しく紹介する前に、まず後ろ姿の写真を。

そう、答えはギブソンのSG。
自分のギターになってみて、初めて気付いたことだが、SGは後ろ姿が実にセクシーである。さらに、マホガニーの木目が薄らと透けて見えるチェリーレッドが、艶かしいギターなのだ。
でも、このSGというギター、ギブソンというメーカーの中では、決して王道を歩んできたわけではない。最近、デレク・トラックスの活躍によって、少しは脚光を浴びているけれど、世間的にはレスポールや335のように名器という評価は受けていないはずだ。その理由はSGの誕生した背景にありそうな気がする。
詳しく紹介する前に、まず後ろ姿の写真を。

そう、答えはギブソンのSG。
自分のギターになってみて、初めて気付いたことだが、SGは後ろ姿が実にセクシーである。さらに、マホガニーの木目が薄らと透けて見えるチェリーレッドが、艶かしいギターなのだ。
でも、このSGというギター、ギブソンというメーカーの中では、決して王道を歩んできたわけではない。最近、デレク・トラックスの活躍によって、少しは脚光を浴びているけれど、世間的にはレスポールや335のように名器という評価は受けていないはずだ。その理由はSGの誕生した背景にありそうな気がする。
今でこそ、ストラトと並んでエレキギターの代表格のレスポールだが、過去に一度生産中止に追い込まれたことがある。
1952年に、まばゆいばかりのゴールドトップに仕上げられ、当時の人気ギタリストであったレスポール氏の名前を冠せられたギターは、ギブソン初のソリッドギターとしてデビュー。57年には「PAF」と呼ばれるハムバッキング・ピックアップが搭載されることになり、現在まで続くレスポールの形が完成する。
58年にはチェリー・サンバーストへと色を変えて、今ではとてつもなく高価なギターとなっている59年製のレスポールが誕生する。
しかし、ウン千万円の値段が付いている今の状況からは想像も出来ないことだが、当時のレスポールは意外にも不人気で、生産台数は低迷。逆に58〜59年にかけてダブルカッタウエイ化されたレスポール・ジュニアとスペシャルが、市場では人気があったようだ。
そこで、ギブソンがレスポールの後継機種として開発したのが、大胆なダブルカッタウエイ・シェイプのSGである。
設計に際しては、レスポールのメイプルとマホガニーをラミネートして、アーチトップを付けるという複雑な工程を省略することで、生産性を向上。
さらに、3ピックアップのカスタムからエントリーモデルのジュニアまで共通のボディデザインを採用することで、ラインの合理化まで進めた。
こうして、1961年にSGは誕生したのだが、当初はレスポールの仕様変更と位置付けられ、まったく異なるシェイプのギターにも関わらず、レスポールという名が付けられた。つまり、この時点でレスポールは一度生産中止となり、SGが新しいレスポールというふれこみで販売されたのだ。
その後、63年には正式にSGと改名され、市場でもそれなりの成功を収めていくが、ロックという音楽の台頭にあわせるかように、クラプトンなどレスポールを弾きまくるギタリストが登場する。そして、レスポールの復活を望む声が高まっていく。
1968年にはP90搭載という形ではあるが、レスポールの再生産が始まり、SGはギブソンの中で二番手、三番手のギターへと後退していくのである。
と、ここまでの話が、ぼくが最初に「ギブソンのギターにしては、珍しく生産効率を考えて作られた」と書いた理由だ。さらに、SGからは王道を歩めそうで歩めなかった中途半端なギターという印象さえ感じる。
だかこそ、少々へそ曲がりなぼくは、数あるギブソンのギターの中でSGが妙に気になっていた。
さらに、何度も見た映画「ウッドストック」の中で、最後にSGを破壊するTHE・WHOのピート・タウンジェントと、SGからエキセントリックなフレーズをはじき出したデビュー直前のサンタナの姿が、いつもまでも忘れられなかったりもする。
つまり、ぼくにとってSGはギターを再開してから、一度は手にしてみたかった1本であり、ギブソンの中で唯一欲しいと思わせるギターだったのである。
昨年の夏以降、エピフォンやエドワーズ、バッカスと、何とか手の届きそうな値段のSGのコピーモデルを楽器屋で見かけるたびに試奏してみたが、どれもピンとくるトーンではなかった。ルックス的にも、ハムバッカー2発、チューンOマチックという標準的な構成では面白みに欠けるような気もした。
かといって、個人的には最もSGらしいと感じるとトレモロユニット(ロング・ヴァイブローラ)が付いたギターはギブソン・カスタム・ショップ製しか見当たらず、シャレで買える値段ではない。
「やはり、オレはギブソン系のギターには縁がないんだなあ」とSGをあきらめかけていた時に、いつものリサイクルショップ、ハードオフで見かけたのが、写真のギターだ。
グレコのSGスペシャルのコピーモデルで、P90(ソープバー)ピックアップが2発に、シンプルなバーブリッジという構成。PRSのSEシングルカットで、P90というピックアップとバーブリッジの良さについて体感しているし、このシンプルなスタイルはぼくの好みにぴったりとはまった。おまけに、値段も手持ちで充分に間に合う程度だ。
「ここは冷静になれよ」と自分に言い聞かせ、店員に声をかけてから、手にとって時間をかけて品定めしてみたが、ネックが波打つこともなく、フレットも8分程度は残っている。金属バーツやネジの頭にはサビが浮き、ボディにも細かいキズや打痕もあるが、弾くのには支障はなさそうだ。
グレコのギターにはそれほど詳しくなったので、その場で年代は特定できなかったが、値段と上の下から中の上といったコンディションを考えれば、充分に買いだと判断した。
グレコのSGスペシャルのコピーモデルを家に持ち帰り、弾きまくる前にコンパウンドで金属パーツのサビを落とし、ローズ指板にオイルで潤いを与える。さらに若干順反りだったネックも調整した。
この作業と並行して、ネットでこのギターの正体を検索してみると、グレコに関してはマニアックに研究されている方が多数いて、当時のカタログや雑誌広告をスキャンしたHPに、簡単にたどり着くことができた。
それによると、このギターの型番は「SS 500CH」。1980年にスパーリアルシリーズの一つとして、ラインアップされたもので、当時の定価は5万円。ネックはマホガニーワンピース、ボディはマホガニー単板で、ピックアップは新開発のシングルコイル「ホットリック」と呼ばれたものらしい。ぼくが買ったのは、ヘッド裏のシリアルから82年製だということも分かった。
数時間かけて、このグレコのSGのクリーニングと調整する中で感じたのは「このギター、実にていねいに作られてるなあ」ということだった。
25年前のギターだというのに、ネックの反りも最小限で、ネックのバインディングの浮きもなく、フレットにしかっりと食いついて、最初の精度を保っている。さらにネックのジョイント部の滑らかでスムーズな仕上げも素晴らしい。
チェリーレッドの下から透けて見えるマホガニーの木目もよく詰まっていて美しく、使われた木材の質の高さが分かる。ボディの乾燥も程よく進んでいるのか、ギターの重量も3キロをわずかに切るという軽さだ。
ボディ裏のパネルを外して、配線関係もチェックしてみたが、パートのおばさんではなく、配線専門の職人さんが熟練した手つきで、ていねいにハンダ付けしたことが感じられる仕上がりである。
実は、この時期のグレコのギターは富士弦楽器株式会社(現在のフジゲン)で作られていて、マニアの間でも「80年前後のグレコは最高だった」という評判があるらしい。
もちろん、保管状態も良かっただろうが、このギターは「まさにジャパン・ヴィンテージだなあ」と思った。
肝心のトーンだが、これまた、もろにぼくの好み。
日本ではあまり人気のなさそうなピックアップのP90だが、ストラトよりファット、普通のハムバッカーよりもトレブリーで軽やか。薄くて、軽量なSGのボディとのマッチングも良くて、唯一無二のトーンが弾きだせるような気がする。
何より、肩からぶら下げた時の軽さ、薄っぺらなボディーと薄めのネックによる体への密着感がたまらない。その昔、忌野清志朗は「レスポールが重すぎたんだろ」と唄ったが、SGはその後継機とは思えないくらい軽やかに弾きこなせるギターなのだ。
ちなみに、これと同じスタイルのギターがギブソンのカスタムショップから発売されているが、こちらは25万円以上。
とてもじゃないが、手が届かないお値段である。

Gibson CUSTOM SHOP Historic Collection SG-Special

1952年に、まばゆいばかりのゴールドトップに仕上げられ、当時の人気ギタリストであったレスポール氏の名前を冠せられたギターは、ギブソン初のソリッドギターとしてデビュー。57年には「PAF」と呼ばれるハムバッキング・ピックアップが搭載されることになり、現在まで続くレスポールの形が完成する。
58年にはチェリー・サンバーストへと色を変えて、今ではとてつもなく高価なギターとなっている59年製のレスポールが誕生する。
しかし、ウン千万円の値段が付いている今の状況からは想像も出来ないことだが、当時のレスポールは意外にも不人気で、生産台数は低迷。逆に58〜59年にかけてダブルカッタウエイ化されたレスポール・ジュニアとスペシャルが、市場では人気があったようだ。
そこで、ギブソンがレスポールの後継機種として開発したのが、大胆なダブルカッタウエイ・シェイプのSGである。設計に際しては、レスポールのメイプルとマホガニーをラミネートして、アーチトップを付けるという複雑な工程を省略することで、生産性を向上。
さらに、3ピックアップのカスタムからエントリーモデルのジュニアまで共通のボディデザインを採用することで、ラインの合理化まで進めた。
こうして、1961年にSGは誕生したのだが、当初はレスポールの仕様変更と位置付けられ、まったく異なるシェイプのギターにも関わらず、レスポールという名が付けられた。つまり、この時点でレスポールは一度生産中止となり、SGが新しいレスポールというふれこみで販売されたのだ。
その後、63年には正式にSGと改名され、市場でもそれなりの成功を収めていくが、ロックという音楽の台頭にあわせるかように、クラプトンなどレスポールを弾きまくるギタリストが登場する。そして、レスポールの復活を望む声が高まっていく。
1968年にはP90搭載という形ではあるが、レスポールの再生産が始まり、SGはギブソンの中で二番手、三番手のギターへと後退していくのである。
と、ここまでの話が、ぼくが最初に「ギブソンのギターにしては、珍しく生産効率を考えて作られた」と書いた理由だ。さらに、SGからは王道を歩めそうで歩めなかった中途半端なギターという印象さえ感じる。
だかこそ、少々へそ曲がりなぼくは、数あるギブソンのギターの中でSGが妙に気になっていた。
さらに、何度も見た映画「ウッドストック」の中で、最後にSGを破壊するTHE・WHOのピート・タウンジェントと、SGからエキセントリックなフレーズをはじき出したデビュー直前のサンタナの姿が、いつもまでも忘れられなかったりもする。
つまり、ぼくにとってSGはギターを再開してから、一度は手にしてみたかった1本であり、ギブソンの中で唯一欲しいと思わせるギターだったのである。
昨年の夏以降、エピフォンやエドワーズ、バッカスと、何とか手の届きそうな値段のSGのコピーモデルを楽器屋で見かけるたびに試奏してみたが、どれもピンとくるトーンではなかった。ルックス的にも、ハムバッカー2発、チューンOマチックという標準的な構成では面白みに欠けるような気もした。
かといって、個人的には最もSGらしいと感じるとトレモロユニット(ロング・ヴァイブローラ)が付いたギターはギブソン・カスタム・ショップ製しか見当たらず、シャレで買える値段ではない。
「やはり、オレはギブソン系のギターには縁がないんだなあ」とSGをあきらめかけていた時に、いつものリサイクルショップ、ハードオフで見かけたのが、写真のギターだ。
グレコのSGスペシャルのコピーモデルで、P90(ソープバー)ピックアップが2発に、シンプルなバーブリッジという構成。PRSのSEシングルカットで、P90というピックアップとバーブリッジの良さについて体感しているし、このシンプルなスタイルはぼくの好みにぴったりとはまった。おまけに、値段も手持ちで充分に間に合う程度だ。
「ここは冷静になれよ」と自分に言い聞かせ、店員に声をかけてから、手にとって時間をかけて品定めしてみたが、ネックが波打つこともなく、フレットも8分程度は残っている。金属バーツやネジの頭にはサビが浮き、ボディにも細かいキズや打痕もあるが、弾くのには支障はなさそうだ。グレコのギターにはそれほど詳しくなったので、その場で年代は特定できなかったが、値段と上の下から中の上といったコンディションを考えれば、充分に買いだと判断した。
グレコのSGスペシャルのコピーモデルを家に持ち帰り、弾きまくる前にコンパウンドで金属パーツのサビを落とし、ローズ指板にオイルで潤いを与える。さらに若干順反りだったネックも調整した。
この作業と並行して、ネットでこのギターの正体を検索してみると、グレコに関してはマニアックに研究されている方が多数いて、当時のカタログや雑誌広告をスキャンしたHPに、簡単にたどり着くことができた。
それによると、このギターの型番は「SS 500CH」。1980年にスパーリアルシリーズの一つとして、ラインアップされたもので、当時の定価は5万円。ネックはマホガニーワンピース、ボディはマホガニー単板で、ピックアップは新開発のシングルコイル「ホットリック」と呼ばれたものらしい。ぼくが買ったのは、ヘッド裏のシリアルから82年製だということも分かった。
数時間かけて、このグレコのSGのクリーニングと調整する中で感じたのは「このギター、実にていねいに作られてるなあ」ということだった。
25年前のギターだというのに、ネックの反りも最小限で、ネックのバインディングの浮きもなく、フレットにしかっりと食いついて、最初の精度を保っている。さらにネックのジョイント部の滑らかでスムーズな仕上げも素晴らしい。
チェリーレッドの下から透けて見えるマホガニーの木目もよく詰まっていて美しく、使われた木材の質の高さが分かる。ボディの乾燥も程よく進んでいるのか、ギターの重量も3キロをわずかに切るという軽さだ。
ボディ裏のパネルを外して、配線関係もチェックしてみたが、パートのおばさんではなく、配線専門の職人さんが熟練した手つきで、ていねいにハンダ付けしたことが感じられる仕上がりである。
実は、この時期のグレコのギターは富士弦楽器株式会社(現在のフジゲン)で作られていて、マニアの間でも「80年前後のグレコは最高だった」という評判があるらしい。
もちろん、保管状態も良かっただろうが、このギターは「まさにジャパン・ヴィンテージだなあ」と思った。
肝心のトーンだが、これまた、もろにぼくの好み。
日本ではあまり人気のなさそうなピックアップのP90だが、ストラトよりファット、普通のハムバッカーよりもトレブリーで軽やか。薄くて、軽量なSGのボディとのマッチングも良くて、唯一無二のトーンが弾きだせるような気がする。
何より、肩からぶら下げた時の軽さ、薄っぺらなボディーと薄めのネックによる体への密着感がたまらない。その昔、忌野清志朗は「レスポールが重すぎたんだろ」と唄ったが、SGはその後継機とは思えないくらい軽やかに弾きこなせるギターなのだ。
ちなみに、これと同じスタイルのギターがギブソンのカスタムショップから発売されているが、こちらは25万円以上。
とてもじゃないが、手が届かないお値段である。

Gibson CUSTOM SHOP Historic Collection SG-Special
| エレキギター、再び | 23:11 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑














