2008.02.28 Thu
戦略的なパンクバンドだったポリス
ぼくはポリスをデビュー当初からリアルタイムで聴いていたし、もちろん大好きだけど、飛行機に乗って、東京や大阪に見に行くまでの深い思い入れはない。でも、再結成ライブの映像を見ると、サポートメンバーを付けず、広いステージに3人だけで立って、過剰な装飾のないプレイをする姿には潔さとかっこよさを感じる。
ギターマガジン3月号に掲載されていたインタビューで、ギターのアンディ・サマーズは再結成の理由を「お金のため」ときっぱり言い切っていた。同時に「オーディエンスの歓声とともに、興奮を分かち合うのは、最もピュアで最高の音楽の楽しみ方だ」とも発言していて、この言葉の通りに、アンディ・サマーズ(実はクラプトンよりも年上)は巨大なステージで空間を音で埋め尽くすような勢いで、ギターを弾きまくっているようだ。
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ぼくにとって、ポリスといえば、やっぱりこれ。デビュー・アルバムの「Outlandos d'Amour」だ。
とにかく、出だしの「Next to You」「So Lonely」「Roxanne」の3連発が強力で、今聴いても軽い興奮を覚える。
デビュー当時のポリスのイメージは、まちがいなく数あるイギリスのパンクバンドの中の一組だった。そして、レゲエのリズムを積極的に取り入れた、少し風変わりなバンドという感じがしていた。
でも、パンクはポリスの売り出し戦略のひとつで、デビューアルバムをリリースした時の年齢はスティングが27歳でスチュワート・コープランドが26歳。なんと、アンディ・サマーズにいたっては35歳だった。
さらに、スティングのデビュー前の職業は小学校の国語教師、アンディ・サマーズはアニマルズのメンバーとして、1968年に来日したこともあるベテランのミュージシャンだった。
つまり、彼らは素顔でパンクバンドをやるような怒れる若者ではなく、パンクの衣をまとった大人だったである。
ポリスという意味深な名前も、インパクトがあって覚えやすく、プロモーションにも使えるという理由で決められたと聞いたことがあるから、このあたりも大いに戦略的だ。
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最近、スチュワート・コープランドが撮影した8ミリフィルムを編集したポリスの映画「ポリス インサイド・アウト」も見たが、これもドキュメンタリーという意味では興味深い内容だった。
1台の車に機材とメンバーを乗せ、広大なアメリカを巡るポリスの下積み時代が見られるのだが、彼らはどこにでもあるような町外れのモーテルに泊まり、小さな会場でプロモーションを兼ねたライブを行っていたようだ。さらに、日本の演歌歌手のように小さなレコード店で、レコードの即売と握手会のようなことをしている映像もあって「わあ、こんなことまでしてたんだ」と驚いてしまった。
ライブのシーンが意外に少なく、音楽映画という点では少々不満は残るが「ポリス インサイド・アウト」は、ロックがパンクからニューウェーブに移行する時代を映し出していて、なかなか面白かった。
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当時、高校生だったぼくにとって、ファースト・アルバムのインパクトは強烈だったが、日本でポリスの人気が高くなったのは、2枚目のアルバムに入っていた「Message in a Bottle」がヒットして、ラジオで頻繁に流れ出した1979年の暮れ以降だったと思う。
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3枚目の「Zenyatta Mondatta」では、パンクバンドの影はすっかりなくり、1981年に来日した時には「夜のヒットスタジオ」に出演。これはぼくも見た記憶があり、日本語バージョンの「De Do Do Do, De Da Da Da」を口パクで唄っていたと思う。
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そして、現時点では彼らの最後のアルバム「Synchronicity」をリリースした時には、既に大物バンドの風格すら漂っていた。ポリスはアメリカのドサ周り時代からわずか5年で、スタジアム級のバンドへと急成長したわけだ。
これは音楽的な才能と実力、そして運がないと不可能なことで、最初の戦略的な売り出し方は単なるきっかけでしかなったといえる。とにかく、ポリスの大スターへの登りつめ方のスピード感にはすごいものがあった思う。
その軌跡をリアルタイムで追いかけられたという点でも、ポリスはぼくの記憶に残るバンドである。
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