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山川健一の「イージー・ゴーイング」

イージー・ゴーイング―頑張りたくないあなたへ
山川 健一
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 ぼくには勝手に同時代を生きている思っている作家が三人いる。村上龍、村上春樹。そして、山川健一だ。三人共に、今よりもずっと多感な中学、高校時代にデビュー作を読み、以来発表された小説やエッセイにはほぼ目を通している。
 その他に共通するのは、何らかの音楽的影響を受けたこと。例えば、村上龍からキューバ音楽を知り、村上春樹のエッセイを読んでジャズを本格的に聴き始めた。そして、山川健一からはロックという音楽について様々なことを学んだ。

 今ではすべてが絶版だと思うが、角川文庫から出た「ローリング・キッズ」と「ロックンロール・ゲームス」には、ミック・ジャガーとキース・リチャーズのインタビューが収録されていて、何度も読んだ。
 東京書籍からCDブックスとして発売された「ハミングバードの頃」と「彼が愛したテレキャスター」は今読み返しても、とても優れたロックエッセイだ。山川健一のロックという音楽への深い関わり、想いがよく分かる二冊だと思う。どうやって、著作権の問題をクリアしたのかは謎だが、ロックの名曲が多数収録されたオムニバスのCDが一枚ずつ付いていて、今でもたまに聴くことがある。 

 今回、紹介する「イージー・ゴーイング」の副題は「頑張りたくないあなたへ」である。すごく簡単に要約すると「無理しないで、自分らしく生きること」について書いてある。押し付けがましくない語りかけるような平易な文章だから、肩の力を抜いて、寝転んで読めば、とりあえず気楽になれるかもしれない。
 でも、「無理をしないで自分らしく生きることは、自分を押し殺して頑張って生きることよりも難しいかもしれないな」とも思う。

 今のぼくはどこの組織にも所属せず、一日の大半を子供と共に主夫として生きている。近頃では主夫も珍しくないかもしれないが、何かの機会に自分の立場を紹介しなければならない時に「今の仕事は主夫です。収入は限りなくゼロに近くて、妻の扶養家族です」と胸を張って言えるようになったのは、つい最近のことだ。つまり、男の見栄というのがあった。

 実際に主夫をやってみれば、家事や子育てというのは想像以上に重労働だ。掃除、洗濯、食事の準備。それだけでも大変なのに、子育てが加わると一日なんてアッとという間に終わる。しかし、これらはとても大切な仕事だと思う。それが身をもって分かってきたので「ぼくは主夫です。子供と共に家にいます」と素直に言えるようになった。さらに「これが今の自分にとって、最も自分らしい生き方なんだろうなあ」と感じている。
 でも、こうして家事の合間をぬってBlogやホームページを更新したり、年間数本であるけれどフリーライターとして仕事をしたりしているのは、どこかで「主夫だけではない自分」を主張したいからだ。文章で何かを表現することは自分のやりたいことであり、今のぼくが社会とコミットしていくための重要なラインでもある。
 こんな立場のぼくに「イージー・ゴーイング」は、やけにリアルに感じられる一冊だった。

 長々と自分のことを書いてしまったが、頑張っている姿や自分を押し殺すことは他人からの評価を得やすい。我慢してでも一流企業で働いていれば、世間的にはエリートと評価され、一定以上の収入は得られるだろう。しかし、無理をしないで生きることは、時にはぐうたらと勘違いされるし、リスクもあるし、ある種の度胸も必要だろう。つまり、頑張るよりも、時には勇気やパワーが必要かもしれない。
 
 昔もらったサインに「Keep On Roling!」と書き添えてくれた山川健一が、少し変わり始めたなと感じたのは数年前からだ。例えば仏教的な考えがエッセイに反映されるようになった。そして最近になって出版されたのが「幕末武士道、若きサムライ達」と「新選組、敗れざる武士達」だ。
 この二冊はまだ読んでいないが、正直なところタイトルを見ただけで「おいおい、武士道と新撰組かよ。あんたはロックが大好きで、Keep On Rolling!だったんじゃなかったのか」と思ってしまった。

 でも、「イージー・ゴーイング」を読んで「きっと『無理しないで、自分らしく生きる』ってのは『Keep On Rolling!』だな」と感じた。肩の力は抜けたけれど、きっと山川健一の本質は変化していない。むしろリラックスしている分、少し前よりも確信に満ちているのではないだろうか。
 この本の中で少しふれられている憲法九条や言霊の話にも共感ができるから「幕末武士道、若きサムライ達」と「新選組、敗れざる武士達」も読んでみようかと思っている。

| BEATな読書 | 11:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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