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とても上質なセルフカバーアルバム、佐野元春の「月と専制君主」

 佐野元春の30周年記念ライブに行った時、その中の4曲を聴いて、中身にとても期待がもてそうだったセルフカバー・アルバム「月と専制君主」が届いた。
 北海道の片田舎に住んでいても、予約をしていればリリース当日に聴けるように発送してくれるなんて、アマゾンもやるではないか。

B004D6PYV2月と専制君主(CD+DVD)
佐野元春
DaisyMusic 2011-01-26

by G-Tools

 早速、CDプレイヤーにセットしてみると、これが想像していた以上に素晴らしかった。
 ぼくは「佐野元春がセルフカバー・アルバムを製作中」というニュースを聞いて「元春、おまえもか。安易な曲のお化粧直しだけはやめてほしいけどなあ」と思ったのだが、そんな心配は一瞬にして消え去った。
 ここ数日は「月と専制君主」ばかりをリピートしているが、早くもこの先も聴き続けていく愛聴盤になる予感さえする。

 何より、アナログ感がプンプンとする音のデザインが良い。曲のリズムやアレンジが変わっても、アルバム全体の音色には統一感があって、今風のデジタル臭さ、プロ・ツールスでさっと作りましたという感じが、まったくしないのだ。
 もちろん、21世紀に製作される音楽はデジタルの呪縛から逃れることなんてできないが、まるでレコードを聴いているかのような音の肌触りが懐かしくも、新しい。
 収録時間も50分弱とレコード並みだし、CDと同じ内容のアナログ盤が付いた限定版もリリースされた理由がよく分かる音の作り方だ。

 すべての曲に共通するのは、都会的な音作りなのに、ほのかに漂う土臭さ。いまどき、ハモンドオルガンやフリューゲルホルンが心地よく鳴り響くロックのアルバムを作ることができるのは、佐野元春くらいものだろう。
 こんなアルバムが、2011年のCDショップの店頭に新作として並ぶのは、とても痛快なことだ。流行の音作りとは明らかに異質の「月と専制君主」は、今のメインストリームの音楽に対する佐野元春の静かで鋭いカウンターパンチではないか。

 ぼくは「月と専制君主」を聴いて、なぜかアストラッド・ジルベルトの音の肌触りを思い出してしまった。
 畑違いの音楽なのかもしれないが、アストラッド・ジルベルトの唄はこんな感じ。曲は月つながりで「Fly Me To The Moon」を。



 あえて、各曲の解説は控えるが、このアルバムは佐野元春がかって書いた曲に、統一感のある新しいアレンジをまとわせて、慎重に並べ替えた上質な短編集という感じがする。CDの時代になって、半ば無意味になってしまった曲順も大切にしたいと思えるアルバムだ。

 もちろん、聴く人によって、曲や詩の受けとめ方は様々だろうし、佐野元春も何かを明確に表現しようとしているわけではない。しかし、陽気に「君がいない」と唄う「ジュジュ」に始まり「ヤング・ブラッツ」や「君がいなければ」を経て、ワルツの「レインガール」で終わるアルバムからは、きっと何かを感じるはずだ。
 ちなみに、個人的なベスト・トラックは、初めて聴いた時にドキリとするほどのせつなさを感じてしまった「日曜日の朝の憂鬱」だろうか。


 ロックは若者のための音楽。ぼく自身もメディアも未だにそう思い込んでいる部分があるけれど、ローリング・ストーンズやボブ・ディランは還暦を過ぎても、新しいアルバムをリリースし、ツアーを続けている。
 もはや、ロックは単に若者の怒りや反抗を表現する音楽ではなく、人生の円熟や終焉、人が枯れていく様すら表現できる音楽になったのではないか。「月と専制君主」はそんなことも考えさせてくれるアルバムだ。

 もうすぐ55歳になるキャリア30年の佐野元春が作り上げたセルフカバー・アルバムは、洗練された大人の音楽ともいえるが、あちらこちらに芯のある反骨心も見え隠れする。
 円熟と反抗が両立している「月と専制君主」は、結果的に佐野元春の30周年を飾るのにふさわしいアルバムになった気がするが、早いうちに新曲の詰まったニューアルバムも聴いてみたいものだ。

| 佐野元春 | 22:54 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

私も早速購入して聴きました。
セルフカバーってことだったので
かつての名曲目白押しかと思いきや
元春らしい選曲だなぁって感心しました(笑)

売りたければSomedayやDowntown Boyの別バージョン作れば
ほっといても売れるのにって思いましたが(笑)

ま、そこが佐野元春の佐野元春たる由縁なんでしょね。
内容もいいと思いました。
月と専制君主なんてオリジナルは全然記憶になかったですけど(笑)

私はCircle以降のアルバムは聴いていないので
レンタルでもして聴こうと思います。

でもなぜか某有名レンタルCDショップに置いてないんですよ・・・
3軒も回ったのに(汗)

Somedayとかベストアルバムは置いてるんですけどねぇ・・・

ま、なんとかして手に入れます。

| FINE | 2011/01/30 20:01 | URL | ≫ EDIT

FINEさん、こんばんわ。

一夜限りのライブでは王道の選曲をしても、聞き続けられるアルバムではひねくれた曲をカバーするあたり、彼らしいですよね。
安易なセルフカバーをせず、セールスよりも中身にこだわるところが好きです。

ただ、ぼくはどれも埋もれさせておくには惜しい名曲だと思います。
アナログな耳障りの音作りも良いですね。

お探しの「Circle」以降のアルバム。
実は現在では廃盤です。

でも、ブックオフやアマゾンの中古が安いかも。
アマゾンでは「フルーツ」の中古が、なんと1円!
もちろん、配送料はかかりますが、長年聞き続けている良いアルバムなので、あんまりな値段のような気もします。

| woodstock69 | 2011/02/02 22:31 | URL | ≫ EDIT

woodstockさんお久しぶりです。
都合により1月はこちらに立ち寄れませんでしたが
やっと昨日、1月の内容をチェックすれば佐野の話の数々。
とても感動いたしました。
アルバム関しましては驚いたことにほとんど同じ感想で、
鋭い分析~感覚だと私は思います。
今度のホールツアーはまだ私は観ていませんが、
言っていることが手にとるように伝わってきました。

(ライブハウスツアーも悪くはありませんでしたが
これも同じ事をやっている感を強く感じました。
近くでは観られましたが。)

話が長くなりそうなので最後に一言付け加えれば
今度のアルバム、悪くはないと思います。
しかし私は佐野さんにもっと期待している人間なのです。
きっと又、凄いものを創ってくれるはずだと。

woodstockさんは今佐野さんにどんな音楽を期待しているのでしょうか?
ちょっと気になるところです。


| 64studio | 2011/02/09 22:53 | URL | ≫ EDIT

64studioさん、こんにちわ。

今回のアルバム、ぼくはセルフカバーといいながら、新作に近いものを感じています。
「アンジェリーナ」や「ガラスのジェネレーション」「サムディ」のない選曲には、懐古趣味ではなく、攻めの姿勢がありますよね。

逆にツアーは王道のヒットパレードでしたが「オレはまだ2時間以上も疾走できるんだぜ」という力強さを感じました。
アルバムとツアーをセットにして考えると、実に佐野元春らしい30周年のあり方だと思いますね。

でも、ぼくが佐野元春に期待しているのは「心地の良い裏切り」のある音楽です。
彼は最近のインタビューで「メインストリームに対抗するオルタナティブでありたい」と発言していました。
今回のアルバムからもそれは感じますが、きつい言い方をすれば、焼き直しであることに変わりはありません。

抽象的な表現ですが、今後の佐野元春には成熟しながらもゆれ続ける心を感じる新しい曲を期待しています。

| woodstock69 | 2011/02/12 11:03 | URL | ≫ EDIT















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