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畑の中のつづれおり

TapestryTapestry
Carole King


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 長年愛聴しているCDにキャロル・キングという女性シンガーの「つづれおり」がある。
 このアルバムは七一年に発売され、二千万枚以上のセールスを記録した。爆発的に売れた理由を、激動の六十年代に少々疲れた人々の耳にキャロル・キングの声とピアノの音色が癒しの感覚をもって響いたからではないだろうかと推測しているが、そんな時代背景を抜きにしても「つづれおり」は歴史的な名盤で、今もその輝きは衰えることがない。

 女性が造った優れたポップソングには「大地をまっすぐ歩いて行けば、いつかきっと理想に辿り着ける」といった唄が多いように思う。
 一般的に女性は感情の起伏が激しく情緒的だといわれている。しかし、失恋の唄の世界を考えると、男が「朝起きたら、愛しい彼女がベットから消えていたんだぜ。悲しみが溢れて、どうすることもできない」とブルースによくあるフレーズで行き場所のない感情を爆発させるのに比べて、女性の場合は冷静にポジティブに「あの人は家を出ていったけれど、今日も太陽が昇り、日差しが私をつつんでいく。きっと大丈夫」と表現している場合が多い。

 「つづれおり」に収録されているキャロル・キングの代表曲「イッツ・トゥー・レイト」も失恋の唄だが「心の炎が消えたのを私は隠せないし、それをだませない」と告白しつつも「ふたりの暮らしは楽しくて、私は一度はあなたを愛した。でも、もう遅すぎる」と自分の恋にきっちりとけりをつける。そこには余計な未練やとまどいはなく、過去のことは清算して新しい一歩を踏み出そうという強い意志がある。

 包み込まれるようなやさしさと力強さを併せ持ったキャロル・キングの声とピアノの音色は、両脇に畑の広がるまっすぐな農道を車で走る抜けている時に心地良く耳に響く。それは豊かな実りを作り出す大地が、限りなく女性的であるからだ。

「イーストサイド」05号に執筆したものを加筆して転載。

 ようやく一本の原稿が終了したのもの、まだ残りが一本。というわけで、もう一回「イーストサイド」からの転載ネタです。

 キャロル・キングの「Tapestry」については、以前にも一度書いたことがある。何度聞いても素晴らしい、名盤中の名盤だと思う。
 実は北海道に来る前に持っていた女性シンガーのアルバムはキャロル・キングに限られていた。つまり、マッチョなロック野郎だったのに、近頃ではノラ・ジョーンズ、ダイアナ・クラール、シャーデーなどなど、女性シンガーのアルバムをよく聴く。
 音楽の嗜好が変わってきたのは、住んでいる環境のせいか、それとも主夫業もしているからか。案外、単に歳くったせいかもしれないけれど・・・・。

| キャロル・キング | 11:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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これもお間抜けジャケット、でも傑作の「喜びにつつまれて」

Wrap Around Joy
Carole King
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 調子に乗って、ボブ・ディランの「Street Legal」に続く「お間抜けジャケットなのに傑作」シリーズを考えてみた。
 すぐに思い浮かんだのが、キャロル・キングの「Wrap Around Joy」(邦題は「喜びにつつまれて」)。安っぽいイラストとキャロル・キングのロゴ。中央に無理やり押し込んだようなキャロル・キングの写真は手書きで修正を加えたような感じで、あまりにチープだ。さらに、彼女の美しさやかわいさを、ひとつも表現できていない。

 しかし、これまた中身が素晴らしい。名盤「つづれおり」のようなナイーブな繊細さは感じられないけれど、「Wrap Around Joy」にはキャリアの中で最もポップなキャロル・キングが記録されている。
 「つづれおり」の爆発的ヒットがプレッシャーになったのか、以降は少々低迷したキャロル・キングが久々に放ったヒットナンバーの「Nightingale」と「Jazzman」を始めとして、ポップでキャッチーな名曲の連発。作り込まれているのに、とても軽い絶妙のアレンジを含めて、ジャケット以外にケチの付け所がない。

 春にふさわしい、あたたかでポップな曲が一杯の「Wrap Around Joy」は、今の時期にぜひ聴いてもらいたい名盤だ。

| キャロル・キング | 10:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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キャロル・キングの「つづれおり」

TapestryTapestry
Carole King


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 「Tapestry-つづれおり」は言わずと知れた歴史的名盤で、キャロル・キングの出世作にして代表作。1971年にリリースされた「つづれおり」は全世界で二千万枚以上のセールスを記録し、ビルボードで連続302週に渡って(つまり6年間)チャートインを続けた。

 ぼくは「売れたからすごい、売れているのだから良い音楽」という数による評価は大嫌いだが、このアルバムには爆発的に売れた理由がある。
 まず「つづれおり」には、最初から最後の一曲までつまらない曲がない。普通は一枚のアルバムの中には1、2曲の捨て曲(シングルヒット以外、ほとんどの場合も)があるものだが、「つづれおり」にはそれらが見当たらない。力強いタッチのピアノのイントロの「I Feel The Earth Move」で始まり、しっとりとした「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」で終わる「つづれおり」の流れはこの曲順しかないという構成で、何度聴き返しても飽きることがない。

 余計な音の装飾がないアレンジはシンプルで、曲の調子だってほとんどが穏やかなものだが、アルバム全体に漂うテンションは非常に高い。
 しかし、それは緊張感を伴う尖がったものではない。アルバムを通して、穏やかながら高いテンションを保ったままのキャロル・キングの声とピアノには癒しがあるのだ。この癒しの感覚が激動の60年を生きた人々の耳に染み入るように響いたから、あれほどの大ヒットになったのではないだろうか。

 現在、店頭に並んでいるリマスター盤にはボーナストラックが二曲入っているが、はっきりいって邪魔である。「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」で終わるべき「つづれおり」の完結した世界を壊してしまう気がする。さらに、デジタルリマスターされて、音の分離も良くなったが、以前の少し古ぼけた音のほうが「つづれおり」らしかった。これはレコードの時代から愛聴しているからこそ感じる違和感かもしれないけれど・・・・。

| キャロル・キング | 08:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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