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クラプトンのせつなさゆえの傑作「レイラ」

Layla and Other Assorted Love SongsLayla and Other Assorted Love Songs
Derek and the Dominos


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 紹介するのをためらうほどの名盤である。今も昔もエリック・クラプトンの最高傑作といえば、やはり「Layla and Other Assorted Love Songs」だろう。
 初めて聴いたのは、今から30年近くも前のこと。最初はこのアルバムのサウンドがよく分からなかった。高校生にはあまりに渋すぎたのだ。でも、当時のフォーマットは高価な2枚組みのレコード。意地になって聴いているうちに、じわじわとその良さが分かってきた。以来、絶え間なく聴き続けている一枚である。

 「Layla and Other Assorted Love Songs」を聴いていると、クラプトンは早く成熟して、早く枯れたかった人ではないかと思う。
 レコーディング当時、クラプトンはわずか25歳である。もちろん、今よりは若々しい声だが、25歳にしては渋くてせつない歌声、そして枯れたギターの音色。しかし、隠そうしても隠し切れない若さがにじみ出てしまう。このアンバランスさと全編に漂うせつなさが「Layla and Other Assorted Love Songs」の魅力だ。
 
 有名な話だが「Layla」は故ジョージ・ハリソンの妻パティのために作られた歌だ。のちにクラプトンはジョージからパティをぶん取って結婚する(ちなみに「Wonderful Tonight」は、パティがパーティに着ていく服を選んでいるのを待っている間にひょっこりできた曲)が、この時点ではただの横恋慕。
 つまり、クラプトンはジョージの自宅の庭で「Here Comes The Sun」や「Badge」を仲良く作りながら、親友の妻であるパティに色目を使っていたのである。まったく、とんでもない奴だ。
 親友の妻との恋。しかも、天下のジョージ・ハリソンの妻。どうにもならない恋の悩みが「Layla and Other Assorted Love Songs」のせつなさにつながっているのだと思う。なにしろ、タイトルからして「レイラとその他にも多彩な恋の歌」なのだ。

 「Bell Bottom Blues」の短いながらもセンチメンタルなギターソロに続く「消え去りたくない。もう一日、オレにおくれ」と懇願するサビには、クラプトンの情けなさ全開。
 「Nobody Knows You When You're Down And Out」はデュアン・オールマンのリリカルなスライドギターとクラプトンの悲しげな歌声が、もうたまらん。ホントに「オレのことなんかは、誰も知らねえよ」って感じだ。「アンプラグド」では少し陽気にアレンジされていたが、あれでは違う唄だ。
 「Why Does Love Got To Be So Sad?」はアップテンポで、ギターソロにもクラプトンらしい鋭さが感じられる。「恋はどうしてこんなに悲しく、せつないんじゃ!」とギターに感情をぶつけるクラプトンが素晴らしい。続く「Have You Ever Loved A Woman」もしかり。今度はブルース・ナンバーでつらい気持ちをぶちまける。
 ジミ・ヘンドリックスの死の直前にレコーディングされた「Little Wing」、あえて語るまでもない「Layla」(とんでもなく、なさけない歌詞である)。そしてクロージングナンバーの「Thorn Tree In The Garden」までを貫くせつなさには鬼気迫るものすら感じる。

 こうして「Layla and Other Assorted Love Songs」を曲別に紹介していくと、このアルバムにはクラプトンの生身の感情が丸出しであることが分かる。そして、そのぶちまけ感がこのアルバムを傑作にした。
 「Layla and Other Assorted Love Songs」を「Derek & The Dominoes」の名義でリリースしたのには、エリック・クラプトン自身に自らの名前を隠そうする意思があったらしい。しかし、クラプトンの不幸は彼の背負った悩みやつらさが歌になった時、なぜか大きなポピュラリティーを得てしまうことだ。
 不倫ソングの「Layla」はステージで必ずプレイせざるをえない曲になり、息子の転落死をきっかけにしてできた「Tears in Heven」のヒットは、現在の老いてなおビックスターのクラプトンを作るきっかけになった。
 負の感情をプラスに転換できる強さ、プライベートなことを唄に反映させるとヒットしてしまうのは、スターの条件かもしれない。しかし、それがクラプトンの意思に反しているという部分が感じられることに、彼のつらさがあるような気がする。

 今や円熟の域に差し掛かり、喧嘩別れしたジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーとも仲良くクリームを再結成できるクラプトン。彼が「Layla and Other Assorted Love Songs」のように感情をぶちまけることは、もうなさそうだ。
 このアルバムは詰め込まれているのは、あまりにも美しくせつない若気の至りである。

| エリック・クラプトン | 09:50 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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目立つことを拒否したクラプトンの「There's One in Every Crowd」

There's One in Every CrowdThere's One in Every Crowd
Eric Clapton


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 今年の北海道は季節の進行が、いつもより2週間遅い。雪解け、桜の開花など何もかもが2週間遅れなので、6月に入っても夏らしい感じがしない。
 それでも気分だけは夏にということで、今日はタンスの中身を夏服に入れ替えた。この夏もTシャツやアロハシャツが大活躍する暑い日が続けばいいのだが・・・・。

 夏によく聴くアルバムにエリック・クラプトンの「There's One in Every Crowd」(邦題・安息の地を求めて)がある。以前に紹介した前作の「461 Ocean Boulevard」と同じ路線のカラッとしたサウンド。「I Shot The Sheriff」のヒットに気を良くしたのかレゲエが多いのも特徴だ。

 「There's One in Every Crowd」のクラプトンは、今の老いてなおやる気満々の姿からは想像できないほど、肩の力が抜けている。レイドバックというやつである。
 アルバムタイトルからして「群集の中にひとりはいるやつ=目立たない普通の男」といった意味で、ジャケットはやる気のなそうな犬(クラプトンの当時の愛犬らしい)の写真だ。中身の音もギターを派手に弾いてやろうとか、声を張り上げてシャウトするぞという前向きな姿勢は感じられない。はっきりいって、地味なアルバムである。
 しかし、これが良いのだ。ぼくは「There's One in Every Crowd」が大好きだ。クラプトンの隠れた名盤だと思っている。

 まず、ジャマイカとマイアミで録音されたせいか、アルバム全体のトーンがとても夏っぽい。クソ暑い夏には元気なシャウトより、クラプトンのサラリとした歌声がよく似合うし、曲調にも無理やり盛り上げようとする気がない。あっさり感では「461 Ocean Boulevard」よりも上だろう。
 しかし、ブルースになると聞かせてくれる。5曲目の「The Sky Is Crying」はエルモア・ジェームスのカバー。控えめながらツボを抑えたギターソロが渋い。7曲目の「Better Make It Through Today」はイントロと唄いだしから気だるい雰囲気全開の名曲。「フ、ハーッ」という気の抜けた掛け声から始まるギターソロも地味で短いが、これぞクラプトンとフレーズが続く。

 ぼくが想像するに、この時期のクラプトンは自分のポジションに自信がなかったのではないか。
 麻薬中毒からなんとか立ち直り、リハビリのつもりでレコーディングした「461 Ocean Boulevard」が思わぬ大ヒット。「いやはや、こんなつもりじゃなかったのに。オレはロックスターにはなりたくない。ただ、ブルースが好きなだけ」といった気分が「There's One in Every Crowd」に反映されたのだろう。
 事実、このあたりからクラプトンはアル中になり、メロメロな状態でステージに立つこともあったらしい。酒と縁が切れたのは89年の「Journeyman」あたりからなので、約15年間も酒びたりだったわけだ。

 しかし、ぼくはダメなクラプトンが好きだ。今の自信満々のクラプトンにはどうも違和感がある。そんな気持ちは「There's One in Every Crowd」を聴くと理解してもらえそうな気がする。
 とにかく「There's One in Every Crowd」は、けだるい夏の午後におすすめの名盤だ。

| エリック・クラプトン | 11:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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忘れられた名盤「アナザー・チケット」

アナザー・チケットアナザー・チケット
エリック・クラプトン


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 先週「アナザー・チケット」を旭川の買い物公園の外れにある「レコファン」というお店で買った。
 このお店、昔から知っているが訪れるのは久しぶり。新品と中古、ブートレッグ、限定盤、DVD、ビデオなどが同じ棚に並んでいて、漁る楽しみがある。ジャンル分けもアメリカンロック、ブリティッシュロック、ブルース、ビートルズとローリングストーンズなどと独特でお店のポリシーを感じる。
 近頃ではほとんどのCDをアマゾンのネット通販で買うようになったが、お店で様々なジャケットを手に取ってながめ、迷いながら選ぶのはやはり楽しい。

 クラプトンの「アナザー・チケット」は一般的な評価は低いアルバムだと思うが、久しぶりにじっくりと聴くと、なかなかの名作だ。同時に1981年に「アナザー・チケット」発売直後のツアーのことも思い出した。
 この時のツアーでは新潟、京都、福岡などもめぐり、大阪の会場であるフェスティバルホールも最近のクラプトンのツアー規模からは考えられないほどの小さなホールだった。クラプトンファンにとっては幸せな時代である。
 今ではプレイされることのない「アナザー・チケット」からの曲の他に、プロコル・ハルムのゲリー・ブルッカーがキーボードとしてメンバーに入っていたことから「青い影」などという珍しい曲もプレイされ、猫背気味でギターを弾くアルバート・リーも凄腕だった。
 ぼくは19歳になったばかりで、ライブの直前にバイクで交通事故を起こし入院中。しかし、どうしてもクラプトンを見たかったので、友達に付き添ってもらってギブス姿で病院を抜け出し、松葉杖をついてフェスティバルホールまで行った。

 そんな思い出のある「アナザー・チケット」を、これまで買わなかったのはレコードを持っていたからである。ダビングしたテープをたまに車で聞いていたので、わざわざCDを買う気にならなかったのだ。
 軽快な「Something Special」、切れのよいブルースの「Blow Wind Blow」、まったりとしたバラードのタイトルチューン「Another Ticket」、この時代のクラプトンにしてはキャッチーな「I Can't Stand It」、同じリフで強引にねじ倒すような「Rita Mae」。「アナザー・チケット」は名曲というより、佳曲の揃ったアルバムだ。
 ぼくは未だに人気のある「スローハンド」より「アナザー・チケット」のほうが格段に良いと思う。

| エリック・クラプトン | 21:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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まったりクラプトン

461 Ocean Boulevard461 Ocean Boulevard
Eric Clapton


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 エリック・クラプトンがカリブ海に建設したアルコール中毒や薬物中毒の治療施設「クロスロードセンター」を設立した理由。それは彼自身がかつて強度の麻薬中毒で命を落としかけ、その後もアル中だったからだ。
 現在のエリック・クラプトンの立派な姿からは、そんな過去は想像できないが、ぼくは彼の本質は「ダメ人間」だと思っている。もちろん、ただの「ダメ人間」ではなく、その前に「とてつもなく音楽の才能がある」が付くのだが・・・・。

 エリック・クラプトンは1970年から数年間ほとんど家を出ることもなく、レコーディングもせず、ドラッグの世界に浸っていた。ジャンキーである。
 そんな堕落したギタリストを家から連れ出したのがTHE・WHOのピート・タウンジェントで、復帰の場として「レインボー・コンサート」を用意する。1973年1月のことだ。ここで復活の足がかりをつかんだエリック・クラプトンだが、本格的に音楽シーンに戻るのは翌年になる。その時にリリースしたアルバムが「461オーシャン・ブールヴァード」だ。
 「461オーシャン・ブールヴァード」をひと言で表現すると「まったり」(2ch風ならマターリか)。このまったり感は当時「レイドバック」といわれ、ロック界の流行語にもなった。

「ずっと暗ーいロンドンの部屋にこもっていたんだから、どこか明るくてあったかいとこでレコーディングするべ」
「なら、マイアミでしょ。フロリダの太陽でしょ」
「ついでにバンドのメンバーも、明るいアメリカ人にしよっか」

 おそらく、こんな感じでマイアミでのレコーディングは始まった。エリック・クラプトンはレコーディングの様子を「スタジオの中で曲を作り、思い付く限りの曲を全部プレイした。多分百曲近い曲をレコーディングしたね。そのテープをプロデューサーのトム・ダウドに『君が良いと思うものを選んで、アルバムにしてよ』と渡した」といっている。

 完全復帰への足慣らし、体調も気分も完全ではなく、おそらく麻薬とも縁が切れていない中のレコーディングだった推測されるが、エリック・クラプトンは強運な男である。
 あまり気はすすまかったが、サイドギタリストのジョージ・テリーの強い勧めでレコーディングした「アイ・ショット・ザ・シェリフ」が全米ナンバーワンヒットになったのだ。このボブ・マーリーのレゲェのカバーによって、エリック・クラプトンはロックのメインストリームに復帰に成功する。

 以上が「461オーシャン・ブールヴァード」にまつわる話だが、このアルバムはぼくが25年以上聴き続けている愛聴盤である。特に夏に聞くことが多く、このアルバムが放つリラックスしたムードは素晴らしいのひと言。エリック・クラプトンのソロアルバムの最高傑作だ。
 今回は三十周年記念の「デラックス・エディション」として、ボーナストラックを加え、デジタルリミックスを施されて、1974年12月のロンドンのハマースミス・オデオンでのライブ盤との二枚組みで発売された。

 デジタルリミックスされても「461オーシャン・ブールヴァード」のまったり感は変わらず、エリック・クラプトンの少しか細い声やドブロ・ギターの哀愁のある響きも深い。やはり名盤だ。
 もう一枚のライブアルバムも、かなりまったりである。今のハイパーなエリック・クラプトンからは想像できないようなルーズでリラックスしたライブ。決して適当にやっているわけではないが、隙間の多い音だ。決めの「レイラ」も後半のメロウなピアノのパートはなしである。
 最近ファンになった人は「何じゃ、こりゃ」と感じるライブかもしれないが、これがエリック・クラプトンの本質である。ぼくはまったりとレイドバックしたエリック・クラプトンが好きだ。

 ちなみに、このアバルムはボーナストラックなし、ライブ盤なしの輸入盤なら千円程度で買える。

| エリック・クラプトン | 19:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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