2005.05.21 Sat
冬の風に吹かれて
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ボブ・ディランはとても無愛想なロックンローラーだ。
突き放すようなしわがれ声と平坦なメロディーの唄からは「別にはっきり聞こえなくてもいいんだよ」とばかりの早口で抽象的な詩が飛び出てくる。ステージではMCがほとんどなく、インタービューも大嫌い、笑顔のポートレートなんて見たことがない。
そんなボブ・ディランを好きなって二十数年になるが、未だにどこが良いのか自分でもよく分からない。その唄の中にロックの核心のようなものは確かに感じる。しかし、それを言葉で表現するのはとても難しい。
北海道の冬はボブ・ディランに似て、無愛想な季節だ。
彩りがない白一色の風景に冷たい北風を吹かせ、外気に触れるものすべてを凍りつかせてしまう。厳しい冬をいかに過ごすかが、北海道の生活ではとても重要なことになる。冬が一年の三分の一を占めるからだ。
季節を人に例えるなら、夏は陽気でつきあいやすい友達だ。しかし、北海道の夏は駆け足でやって来て、ある日突然に去ってゆく。きまぐれな奴とはどうしても深いつきあいにはなれないものだ。
冬は無口で思慮深くて、とっつき難い友達かもしれない。でも、何年かつきあっていると、その良さが少しずつ分かってくる。時には厳しいことも言うけれど、決して悪い奴ではない。じっくりと想いを暖める時間を与えてくれるし、意外にもやさしかったりするのだ。
ぼくは厳しい寒さの日に好んでボブ・ディランを聴いている。無愛想な歌声が「なまぬるい風ばかりにあたっていると馬鹿になるぜ、どんな時でもやるべきことをするだけさ」と語りかけてくる気がするからだ。
初期の名曲「風に吹かれて」の中でボブ・ディランは「友よ、答えは風の中にある」と唄った。「なぜ北海道に移り住んだのか?」という自問への答えも、冬の風の中に舞っているのだと思う。
冷たい風にさらされるのも、時に悪くはない。
●「イーストサイド」04号に執筆したものを加筆して転載。
すみません。今日も多忙状態につき、過去に書いた原稿の転載です。
選んだアルバムは「Highway 61 Revisited」(邦題は「追憶のハイウェイ61」)。
これはボブ・ディランの長いキャリアの中でも無愛想さでは一、二を争うアルバムだと思う。なんてったって一曲目が底意地の悪い曲の代表格「Like a Rolling Stone」だ。
刺々しい怒りのこもった声、攻撃的な曲の数々。キャリアの中で最も「ロック」なボブ・ディランが、このアルバムには記録されている。
転載した文章の中で、ぼくはボブ・ディランを冬の冷たい風に例えたが「Highway 61 Revisited」は真冬の嵐だ。
| ボブ・ディラン | 11:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

















